30.桂枝湯の芍薬の加減方

桂枝湯は、脾胃の弱い、汗が出ていて悪寒する證のものに使用します。
桂枝加芍薬湯は、腹満が有り、ガスっぽい症状があったり、痔の良くない者に使用します。
桂枝去芍薬湯は、陽氣が内の方へ入ってしまい胸のあたりが一杯になっている者に使用します。
桂枝加大黄湯は、内實により熱の寄り方の甚だしい為に、芍薬〔苦平〕だけでは薬力不足で、熱を鎮める為に大黄〔苦寒〕を使用します。


桂枝湯・桂枝加芍薬湯・桂枝去芍薬湯・桂枝加大黄湯の薬味の相違を表にして見ました。

○桂枝湯の芍薬の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論・金匱要略より条文を引用しますと

傷寒論「辨太陽病脈證并治法上第五」の第13条より
●太陽の中風は陽浮にして陰弱、陽浮なる者は熱自から発し陰弱なる者は汗自から出づ、嗇嗇として悪寒し淅淅と悪風し翕翕と発熱し鼻鳴、乾嘔する者は桂枝湯之を主どる


傷寒論「辨太陽病脈證并治法上第五」の第14条より
●太陽病、頭痛、発熱、汗出でて悪風する者は桂枝湯之を主どる


傷寒論「辨太陽病脈證并治法上第五」の第16条より
●太陽病之れを下して後ち、その気上衝する者は、桂枝湯を與う、方は前法を用う、若し上衝せざる者は、之れを與うべからず。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法上第五」の第17条より
●太陽病三日、已に汗を発し、若しくは吐し、若しくは下し、若しくは温針し、仍ほ、解せざる者は、此れを壊病と為す、桂枝與うるに中らざるなり、其の脈證を観て、何の逆を犯したるかを知り證に随って之れを治せ。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法上第五」の第18条より
桂枝、本、解肌を為す、若し其の人脈浮緊発熱汗出でざる者は、之れを與うるべからず、常に須らく此れを識り、誤らしむるなかるべきなり。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法上第五」の第19条より
●若し酒客の病、桂枝湯を與うべからず、湯を得れば則ち嘔す、酒客は甘きを喜ばざるを以っての故なり。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法上第五」の第21条より
●凡そ、桂枝湯を服して吐する者は、その後必ず膿血を吐するなり。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法上第五」の第25条より
●太陽病、初め桂枝湯を服し、反って煩し、解せざる者は、先づ風池風府を刺し却って桂枝湯を與うれば則ち愈ゆ。


傷寒論「辨太陽病脈證并治第六」の第12条より
●太陽病外證未だ解せざれば、脈浮弱なる者、當に汗を以って解すべし、桂枝湯に宜し。


傷寒論「辨太陽病脈證并治第六」の第14条より
●太陽病外證未だ解せざる者は、下すべからざるなり、之れを下せば逆となす、外を解せんと欲する者は、宜しく桂枝湯にて之れを主どるべし。


傷寒論「辨太陽病脈證并治第六」の第15条より
●太陽病、先づ汗を発して解せざれば復た之れを下したるも、脈浮なる者愈へず、浮は外に在りと為す、而るに反て之れを下す、故に愈へざらしむ、今脈浮故に外に在るを知る、當に外を解するを須ゆべし、則ち愈ゆ、宜しく桂枝湯にて之れを主どるべし。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法第六」の第23条より
●病、常に自汗出づる者は、此れ榮氣和すると為す、榮氣和する者、外諧わざるは、衞氣、榮氣と共に、和諧せざるを以っての故爾、栄は脉中を行き、衛は脉外を行くを以って、復た其の汗を発し、営衛和すれば則ち愈ゆ、桂枝湯に宜し。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法第六」の第24条より
●病人、藏に他病なく、時に発熱自汗出でて愈えざるは者は、此れ衞氣和せざるなり、其の時に先だちて、汗を発すれば則ち愈ゆ、宜しく桂枝湯にて之れを主どるべし。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法第六」の第26条より
●傷寒、大便せざること六七日、頭痛、熱ある者は、承気湯を與う、其の小便清めるは、裏に有らず、仍ほ、表にあるをしるなり。當に発汗を須うべし、若し頭痛する者は必ず衄す、桂枝湯に宜し。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法第六」の第27条より
●傷寒汗を發し解し、半日許にして、復た煩し、脉浮数なる者は、更に汗を發すべし、桂枝湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法第六」の第64条より
●傷寒、醫之れを下し続いて下利を得、清穀止まず、身疼痛する者は、急に當に裏を救うべし、後ち身疼痛、清便自ら調う者は、急に當に表を救うべし、裏を救うには、四逆湯に宜し、表を救うには、桂枝湯に宜し。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法第六」の第68条より
●太陽病、発熱汗出づる者は、此れを営弱衛強と為す、故に汗を出ださしむ、邪風を救ワンと欲する者は、桂枝湯に宜し。


傷寒論「辨太陽脈證并治下第七」の第37条より
●傷寒、大いに下して復た、汗を発し、心下痞、悪寒する者は、表未だ解せざるなり、痞を攻むべからず、當に先づ表を解すべし、表解せば乃ち、痞を攻むべし、表を解するに、桂枝湯に宜し、痞を攻むるに、大黄黄連瀉心湯に宜し。


傷寒論「辨陽明脈證并治第八」の第55条より
●陽明病脉遅、汗出づること多く、微に悪寒する者は、表未だ解せざるなり、汗を発すべし、桂枝湯に宜し。


傷寒論「辨陽明脈證并治第八」の第61条より
●病人煩熱汗出づれば則ち解す、又は瘧状の如く、日晡所発熱する者は、陽明に属するなり、脈實する者は、之れを下すに宜し、脈浮虚なる者は、汗を発するに宜し、之れを下すには、大承気湯を與う、汗を発するには桂枝湯に宜し。


傷寒論「辨太陰脈證并治第十」の第4条より
●太陰病、脈浮の者は、汗を発すべし、桂枝湯に宜し。


傷寒論「辨厥陰病脈證并治第十二」の第48条より
●下利腹脹満し、身體疼痛する者は先づ其の裏を温め、乃ち其の表を攻む、裏を温むるには四逆湯に宜し、表を攻むるに、桂枝湯に宜し。


傷寒論「辨霍亂病脈證并治第十三」の第7条より
●吐利止みて身痛休まざる者は、當に消息して、其の外を和解すべし、宜しく桂枝湯にて、小しく之れを和すべし。


傷寒論「辨可発汗證并治第十六」の第6条より
●下利の後ち、身疼痛、清便自調う者は、急に當に表を救うべし、宜しく桂枝湯にて汗を発すべし。


金匱要略「婦人妊娠病脈證并治第二十」の第1条より
●師の曰く、婦人、平脉を得て、陰脈小弱、其の人渇して、食する能はず、寒熱無きは、妊娠と名づく、桂枝湯之れを主どる。法に於いて六十日に當に、この證有るべし、設し醫治に逆する者ありて、却って一月に吐下を加えたる者は、則ち之れを絶す。


金匱要略「婦人産後病脈證治第二十一」の第7条より
●産後の風、之に続いて數十日解せず、頭微に痛み、悪寒し、時時熱あり、心下悶、乾嘔汗出づるは、久しと雖も陽旦證、続いて在るのみ、陽旦湯を與うべし。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法上第五」の第23条より
●太陽病、之れを下したる後、脈促、胸満する者は、桂枝去芍薬湯之れを主どる、若し微に悪寒する者は、去芍薬方中加附子湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陰脈證并治第十」の第7条より
●本、太陽病、醫反て、之れを下す、因りて而るに腹満時に痛む者、太陰に属するなり、桂枝加芍薬湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陰脈證并治第十」の第8条より
●大實痛する者、桂枝加大黄湯之れを主どる。


桂枝の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、上気欬逆、結気、喉痺、吐吸を主り、関節を利し、中を補い血を益す
薬徴に曰く 桂枝主治衝逆なり傍ら奔豚頭痛発熱悪風汗出身痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桂枝は味辛温、汗を発し表を調う、叉衝逆を主どると謂わる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云う、動悸頭痛息切れ肩のはり等此れ衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時はよく此衝逆を発す、桂枝よく表を救う、故に斯く称するものなるべし。
芍薬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦平、邪気腹痛を主どり血痺を除き堅積を破り寒熱疝瘕を主どり痛を止め小便を利し氣を益すと。
薬徴に曰く 結實して拘攣するを主治し旁ら腹痛、頭痛、身体不仁、疼痛、腹満、咳逆、下痢、腫膿を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 結實とは凝りの事なり、拘攣とは引かれ引きつらるるを謂うなり、芍薬はよくたるみを引きしめ痛みを除くの効あり、結實も拘攣も弛みより来るものと見るべし。
甘草の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
生姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、胸満欬逆上氣を主どり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる生なる者尤も良し久服すれば息氣を主どり神明に通ずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 生姜味辛温、氣を扶け外を實す、之れ生姜の発汗薬に多く用ひらるる所以なり。
大棗の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、心腹邪気を主どり中を安んじ脾を養ひ十二経を助け胃氣を平にし九竅を通じ少氣少津液身中の不足大驚四肢重を補ひ百薬を和し久服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 攣引強急を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 攣引とはひきつり引かるる事なり、強急とはこはばりつまるなり、則ち大棗に緩和の効あるものと見ゆ、叉大棗には血の循りを良くするのハタラキあり。
大黄の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 味苦寒、裏に熱ありて大便出でず便秘し叉は下痢するを治す。叉腹痛、腹満を治す。或は内に熱あり、胃につかえありて吐する者を治す。或は頭痛する者を治す。大黄の行く所は内に熱あるが主なれば小便の色濃く口中燥き叉は眼の中赤き者等多し。
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# by shizennori | 2008-10-20 19:32 | 30.桂枝湯の芍薬の加減