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22.麦門冬の入った処方の薬味の相違

麦門冬〔甘平〕の薬味の入った処方の薬味の相違を考えてみました。
その処方は、麦門冬湯・竹葉石膏湯・炙甘草湯・温経湯・薯蕷丸があります。
ここでは、薯蕷丸は除いておきます。

麦門冬湯・竹葉石膏湯・炙甘草湯・温経湯の薬味の相違を表にしてみました。


○麦門冬の入った処方の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論・金匱要略より条文を引用しますと

金匱要略「肺痿肺癰欬嗽上気病脈證治第七」の第11条より
●大逆上気、咽喉不利、逆を止め、氣を下す者、麦門冬湯之れを主どる。


傷寒論「辨陰陽易差後勞復病證併治第十四」の第6条より
●傷寒解して後、虚羸少氣し、氣逆して吐せんと欲する者は竹葉石膏湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陽脉證併治下第七」の第50条より
●傷寒、脈結代、心動悸するは、炙甘草湯之れを主どる。


金匱要略「血痺虚労病脈證併治第六」の第19条より
●千金翼炙甘草湯、虚労不足汗出でて悶、脈結、悸し、行動常の如きは、百日を出でずして危うく、急なる者は、十一日に死するを治す。


金匱要略「肺痿肺癰欬嗽上気病脈證治第七」の第11条より
●附方、外臺炙甘草湯、肺痿涎唾多く、心中温温液液の者を治す。


金匱要略「婦人雑病脈證併治第二十二」の第9条より
●問いて曰く、婦人年五十ばかり、下利を病み、数十日止まず、暮には即ち発熱し、少腹裏急、腹満、手掌煩熱し、唇口乾燥するは、何ぞや、師曰く、この病は帶下に属す、何を以ての故に、かって半産を経て、瘀血、少腹に在り手て去らず、何を以て此れを知る、其の證、唇口乾燥するが故に此れを知る、
當に温経湯を以て之れを主どるべし。


麦門冬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 麦門冬味甘平、心腹結気傷中傷飽胃絡脈絶羸痩短氣を主どる久服すれば身を軽くし老いず飢ゑずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 麦門冬味甘平、咳を鎮め咽喉の通りを好くし、熱を去る。特に虚弱の者の咳込み、微熱等を除く効あり。
半夏の氣味と効用について
神農本草経に曰く 半夏味辛平、傷寒寒熱心下堅を主どり氣を下し咽喉腫痛頭眩胸脹欬逆を主どり腸鳴を主どり汗を止どむと。
薬徴に曰く 半夏主治痰飲嘔吐也旁ら心痛逆満、咽中痛、欬、悸、腹中雷鳴を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 半夏は氣を補ひ水を去る故によく嘔吐、腹中雷鳴、咳逆等を治す。叉咽痛を治す。
人参
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘微寒、五臓を補ひ精神を安んじ魂魄を定め驚悸を止どめ邪気を除き目を明らかにし心を開き智を益すことを主どり、久しく服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 主治心下痞堅、痞鞭、支結なり旁ら不食嘔吐喜唾、心痛、腹痛、煩悸を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 乾きを潤し、しぶりを緩む。故に心下痞、痞堅、身痛、下痢、喜嘔、心痛、その他を治す。
甘草の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
粳米の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 粳米味甘平、燥きを潤し急を緩め力を強むるの効あり。
大棗の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、心腹邪気を主どり中を安んじ脾を養ひ十二経を助け胃氣を平にし九竅を通じ少氣少津液身中の不足大驚四肢重を補ひ百薬を和し久服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 攣引強急を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 攣引とはひきつり引かるる事なり、強急とはこはばりつまるなり、則ち大棗に緩和の効あるものと見ゆ、叉大棗には血の循りを良くするのハタラキあり。
竹葉の氣味と効用について
神農本草経に曰く 竹葉味苦平、欬逆上気溢、筋急、悪瘍を主どり小蟲を殺し根を湯と作せば氣を益し渇を止どめ虚を補ひ氣を下す、汁は風痙を主どり實は神命に通じ身を軽くし氣を益すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 竹葉味苦平、逆上気、咳などを治す。大體竹茹に似て稍効異る所あるものの如し。
石膏の氣味と効用について
神農本草経に曰く 石膏味辛微寒、中風寒熱心下逆氣驚喘口乾舌焦息する能はず、腹中堅痛、邪鬼を除き産乳金瘡を主どる。
薬徴に曰く 主治煩渇也、旁ら譫語、煩躁、身熱を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 熱氣の泛乱を収め陽気の発散を助け熱による刺戟症状を緩解する能あるものの如し。
桂枝の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、上気欬逆、結気、喉痺、吐吸を主り、関節を利し、中を補い血を益す
薬徴に曰く 桂枝主治衝逆なり傍ら奔豚頭痛発熱悪風汗出身痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桂枝は味辛温、汗を発し表を調う、叉衝逆を主どると謂わる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云う、動悸頭痛息切れ肩のはり等此れ衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時はよく此衝逆を発す、桂枝よく表を救う、故に斯く称するものなるべし。
生姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 生姜味辛温、胸満欬逆上氣を主どり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる生なる者尤も良し久服すれば息氣を主どり神明に通ずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 生姜味辛温、氣をたすけ外を實す、之れ生姜の発汗薬に多く用ひらるる所以なり。
麻子仁の氣味と効用について
神農本草経に曰く 麻子味甘平、中を補い氣を益し肥健不老を主どると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 麻子味甘平、内熱によりて燥き固まれるを潤ほしやわらぐるの効あり。
阿膠の氣味と効用について
神農本草経に曰く 阿膠味甘平、心腹内崩勞極灑灑として瘧状の如く腰腹痛四肢酸疼女子下血を主どり胎を安んず久しく服すれば身を軽くし氣を益すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 阿膠は味甘平肌肉の傷れを治し急を緩るむることを主どると。故に出血を止どめ煩を去る。
地黄の氣味と効用について
神農本草経に曰く 乾地黄味甘寒、折趺絶筋傷中、血痺を逐ひ骨髓を填たし肌肉を長ずることを主どる、湯と作せば寒熱積聚を除き痹を除く、生者尤も良し、久服すれば身を軽くし老せずと。
薬徴に曰く 地黄は血證及び水病を主治する也と。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 地黄味甘寒、血の熱を涼し出血を止どめよく肌肉を潤し養う。故に腎気丸、三物黄芩湯、黄土湯、膠艾湯、炙甘草湯等に用いらる。これ等は皆つまる所は血を治する所にあるが故とみるべし。
呉茱萸の氣味と効用について
神農本草経に曰く 呉茱萸味辛温、中を温め氣を下し痛を止どめ欬逆寒熱を主どり濕血痺を除き風邪を逐ひ腠理を開くと。
薬徴に曰く 呉茱萸は嘔して胸満するを主治する也と。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 呉茱萸味辛温胃中を温め其の働きを鼓舞す。故に停水を去り吐き気を治し下利を止どめ手足を温めまた頭痛を治す。
當帰の氣味と効用について
神農本草経に曰く 當帰味甘温、欬逆上氣、温瘧寒熱洗洗皮膚中に在り婦人漏下子を絶つを主どる諸悪瘡瘍金瘡の者之を飲ますと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 當帰味甘温、中を緩め外の寒を退け氣血の行りをよくすることを主どる、故に手足を温め、腹痛を治し、内を調へ血を和し胎を安んず、之れ當帰の好んで婦人血の道の諸病、諸の冷え込み等に用ひらるる所以なるべし。
芎藭の氣味と効用について
神農本草経に曰く 芎藭味辛温、中風脳に入り頭痛するのや、寒痺にて筋の攣り緩急あるのや、金瘡や、婦人血閉して子の無きのやなどを主どると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 川芎味辛温、氣のめぐりを良くしのぼせを下げ頭を軽くし腹痛を治し月経不順を調へ又は下血を止どめ或は胎児を安んず、芎藭は當歸と合用せられ諸種の婦人病、昔時の所謂血の道に応用せらる此れ等は皆氣の滞りを散じ血行を順にさせる為と思われます。
芍薬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦平、邪気腹痛を主どり血痺を除き堅積を破り寒熱疝瘕を主どり痛を止め小便を利し氣を益すと。
薬徴に曰く 結實して拘攣するを主治し旁ら腹痛、頭痛、身体不仁、疼痛、腹満、咳逆、下痢、腫膿を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 結實とは凝りの事なり、拘攣とは引かれ引きつらるるを謂うなり、芍薬はよくたるみを引きしめ痛みを除くの効あり、結實も拘攣も弛みより来るものと見るべし。
牡丹皮の氣味と効用について
神農本草経に曰く 牡丹辛寒、寒熱中風瘈瘲驚癇邪氣を主どり癥堅瘀血腸胃に留舎するを除き五臓を安んじ癰瘡を療すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 牡丹皮味辛寒、内の熱を散じ結滞を浄め消するの効あり。
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by shizennori | 2007-12-16 20:12 | 22.麦門冬の薬味の処方

21.麦門冬湯の類処方

麦門冬湯の類処方を比較してみました。

麦門冬湯と竹葉石膏湯の薬味の違いを表にしてみました。


○麦門冬湯と竹葉石膏湯の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論・金匱要略より条文を引用してみますと

傷寒論「辨陰陽易差後勞復病證併治第十四」の第6条より
●傷寒解して後、虚羸少氣し、氣逆して吐せんと欲する者は竹葉石膏湯之をつかさどる。


金匱要略「肺痿肺癰欬嗽上気病脈證治第七」の第11条より
●大逆上気、咽喉不利、逆を止め、氣を下す者、麦門冬湯之れを主どる。


麦門冬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 麦門冬味甘平、心腹結気傷中傷飽胃絡脈絶羸痩短氣を主どる久服すれば身を軽くし老いず飢ゑずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 麦門冬味甘平、咳を鎮め咽喉の通りを好くし、熱を去る。特に虚弱の者の咳込み、微熱等を除く効あり。
半夏の氣味と効用について
神農本草経に曰く 半夏味辛平、傷寒寒熱心下堅を主どり氣を下し咽喉腫痛頭眩胸脹欬逆を主どり腸鳴を主どり汗を止どむと。
薬徴に曰く 半夏主治痰飲嘔吐也旁ら心痛逆満、咽中痛、欬、悸、腹中雷鳴を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 半夏は氣を補ひ水を去る故によく嘔吐、腹中雷鳴、咳逆等を治す。叉咽痛を治す。
人参
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘微寒、五臓を補ひ精神を安んじ魂魄を定め驚悸を止どめ邪気を除き目を明らかにし心を開き智を益すことを主どり、久しく服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 主治心下痞堅、痞鞭、支結なり旁ら不食嘔吐喜唾、心痛、腹痛、煩悸を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 乾きを潤し、しぶりを緩む。故に心下痞、痞堅、身痛、下痢、喜嘔、心痛、その他を治す。
甘草の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
粳米の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 粳米味甘平、燥きを潤し急を緩め力を強むるの効あり。
大棗の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、心腹邪気を主どり中を安んじ脾を養ひ十二経を助け胃氣を平にし九竅を通じ少氣少津液身中の不足大驚四肢重を補ひ百薬を和し久服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 攣引強急を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 攣引とはひきつり引かるる事なり、強急とはこはばりつまるなり、則ち大棗に緩和の効あるものと見ゆ、叉大棗には血の循りを良くするのハタラキあり。
竹葉の氣味と効用について
神農本草経に曰く 竹葉味苦平、欬逆上気溢、筋急、悪瘍を主どり小蟲を殺し根を湯と作せば氣を益し渇を止どめ虚を補ひ氣を下す、汁は風痙を主どり實は神命に通じ身を軽くし氣を益すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 竹葉味苦平、逆上気、咳などを治す。大體竹茹に似て稍効異る所あるものの如し。
石膏の氣味と効用について
神農本草経に曰く 石膏味辛微寒、中風寒熱心下逆氣驚喘口乾舌焦息する能はず、腹中堅痛、邪鬼を除き産乳金瘡を主どる。
薬徴に曰く 主治煩渇也、旁ら譫語、煩躁、身熱を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 熱氣の泛乱を収め陽気の発散を助け熱による刺戟症状を緩解する能あるものの如し。
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by shizennori | 2007-12-15 12:04 | 21.麦門冬湯の類処方

20.乾薑・附子剤の処方

乾薑・附子の薬味を中心にした処方を集めてみました。
乾薑・附子は、裏寒に作用し、更に下痢、四肢厥冷を治するに用いられます。

ここに、乾薑・附子の薬味を中心にした処方の比較を表にしてみました。

○乾薑・附子の薬味を中心にした処方の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論・金匱要略より条文を引用してみますと

傷寒論「辨太陽病脉證併治中第六」の第31条より
●之れを下したる後、復た汗を発し晝日煩躁して眠るを得ず、夜にして安静嘔せず渇せず表證なく脈沈微、身に大熱無き者は乾薑附子湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陽病脈證併治法上第五」の第64条より
●傷寒醫之を下し続いて下利を得、清穀止まず身疼痛する者は、急に當に裏を救うべし、のち身疼痛、清便自から調う者は急に當に表を救うべし、裏を救うは四逆湯に宜しく、表を救うは桂枝湯に宜し・


傷寒論「辨太陽病脈證併治法上第五」の第30条より
●傷寒脈浮自から汗出て小便数、心煩微悪寒脚攣急するに反って桂枝湯を與へて、其の表を攻めんと欲するは此れ誤りなり、之を得て便ち厥し咽中乾き煩燥吐逆する者には、甘草乾姜湯を作り之を與へて以て其の陽を復す、若し厥愈え足温かなる者には更に芍薬甘草湯を作り之を與うれば其の脚即ち伸ぶ、若し胃氣和せず譫語する者は少しく調胃承気湯を與う、若し重ねて汗を発し復た焼鍼を加えたる者は、四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨太陽病脈證併治中第六」の第65条より
●病発熱、脈反って沈、若し差えず身体疼痛するは、當に其の裏を救うべし、四逆湯に宜し。


傷寒論「辨陽明脈證併治第八」の第47条より
●脈浮にして遅、表熱裏寒下利清穀する者は、四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨少陰病脈證併治第十一」の第43条より
●少陰病、脈沈なる者は、急に之を温む、四逆湯に宜し。


傷寒論「辨少陰病脈證併治第十一」の第44条より
●少陰病、飮食口に入れば則ち吐し、心中温温吐さんと欲すれども、また吐する能はず、始めに之を得て手足寒え脈弦遅なる者は、これ胸中實す下すべからざるなり、當に之を吐すべし、若し膈上に寒飲有りて、乾嘔する者は吐すべからざるなり、急に之を温め、四逆湯に宜し。


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第28条より
●大いに汗出で、熱さらず、内拘急し四肢疼み又は下利厥逆して悪寒する者は四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第29条より
●大いに汗し若しくは大いに下利して厥冷する者は四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第48条より
●下利、腹脹満し身体疼痛する者は先づ其の裏を温め乃ち其の表を攻む、裏を温むるには四逆湯、表を攻むるには桂枝湯


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第53条より
●嘔して脈弱、小便また利し、身に微熱ありて厥を見わす者は治し難し、四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨霍乱病脈證併治第十三」の第8条より
●吐利し汗出で発熱悪寒、四肢拘急、手足厥冷する者は、四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨霍乱病脈證併治第十三」の第9条より
●既に吐し且つ利し小便復た利し而して大いに汗出で下利清穀し内寒外熱し脈絶せんと欲する者は、
四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨少陰病脈證併治第十一」の第34条より
●少陰病、下痢するは、白通湯之れを主どる。


傷寒論「辨少陰病脈證併治第十一」の第35条より
●少陰病、下痢脈微なる者に白通湯を與へ、利止まず、厥逆脈無く乾嘔し煩する者は、白通加猪胆汁湯之れを主どる、湯を服し脈暴かに出づる者は死し、微に続く者は生く。


乾姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、味辛温、胸満欬逆上気を主をどり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる。生者尤も良し、久服すれば息気をまもり神明に通ずと。
薬徴に曰く 結滞水毒を主治するなり、旁ら嘔吐、咳、下痢、厥冷、煩躁、腹痛、胸痛、腰痛を治す。生の生姜と乾かした生姜とは元一物にして薬効大いに異なる、自然の妙瘍まことに窮究し難きもの多し、而して乾姜の場合は散辛化して歛辛となる、生姜は進むことを主どり乾姜は守ることを主どる、万物の変化まことに計り知るべからざる所あり、乾姜は深きを温むる効あり、故に厥を回し下痢を止め嘔を治す。
附子の氣味と効用について
薬徴に曰く 逐水を主どるなり、故によく悪寒身体四肢及骨節疼痛或沈重或不仁或厥冷を治し旁ら腹痛失精下痢するを治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 附子味辛温、表を實し陽を益し津液を保つ故に悪寒し厥冷を復す。
甘草の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
葱白の氣味と効用について
神農本草経に曰く 葱實味辛温、目を明らかにし中の氣不足を補ふを主どる、其の茎は湯となすべし傷寒寒熱を主どり汗を出だし中風面目腫れたるを主どると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 葱白は味辛温、陽気を助け寒熱中風下利等を治す。
人尿の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 人尿はよく體中を巡りたる経験者なればなり、故に津液の行り宜しからざる際に用ひらる、白通加猪胆汁湯に入り、又馬墜打撲の方を煮るに用ひらるるは其の例なり
猪胆汁の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 猪胆汁味苦寒、熱を除き鬱を通じ生気を鼓舞回復せしむるの力あるものの如し。又此を灌腸するによりてよく大便を出だしむ。之亦鬱を通ずる力あるものに由る如し。故に少陰病に於ける白通湯、霍乱病に於ける通脈四逆湯等に入り以て危急存亡の間をはせまわりて之を救うなり。
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by shizennori | 2007-12-14 17:07 | 20.乾薑と附子の薬味

19.柴胡剤の処方と薬味の相違

傷寒論・金匱要略における柴胡剤の処方と薬味の違いについて考えてみました。
柴胡剤を、体力のある方に使用する順序で整理してみました。
それには、柴胡剤の処方の薬味の違いを認識しなければなりません。

傷寒論・金匱要略の中から柴胡剤の処方を表にしてみました。


○柴胡剤の処方と薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論・金匱要略より条文を引用してみますと

傷寒論「辨太陽病脉證併治中第六」の第78条より
●太陽病、過經十餘日、反って二三、之れを下し後四五日、柴胡の證仍ほ在る者には先づ小柴胡湯を與ふ、嘔止まず心下急、鬱鬱微煩する者は、未だ解せずと爲すなり、大柴胡湯を與へ、之れを下せば則ち愈ゆ。


傷寒論「辨太陽脉證併治下第七」の第9条より
●傷寒、十餘日、熱結裏に在り、復た、往来寒熱する者には、大柴胡湯を與ふ、但だ、結胸し、大熱無き者は、此れ水結、胸脅に在りと為すなり、但だ頭に微汗出づる者は、大陥胸湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陽脉證併治下第七」の第38条より
●傷寒発熱汗出でて解せず、心中痞鞕嘔吐して下痢する者は、大柴胡湯之れを主どる。


傷寒論「辨可下脈證併治第二十一」の第10条より
●傷寒後の脈沈、沈なる者は、内實なり、下して之れを解せ、大柴胡湯に宜し。


金匱要略「腹満寒疝宿食病脈證治第十」の第13条より
●之れを按じ心下滿痛する者は、此れ實と為すなり、當に之れを下すべし、大柴胡湯に宜し。


傷寒論「辨少陰病脈證併治第十一」の第38条より
●少陰病、四逆、其の人或いは欬し、或いは悸し、或いは小便不利、或いは腹中痛み、或いは泄利下重する者、四逆散之れを主どる。


傷寒論「辨太陽病脈證併治中第六」の第82条より
●傷寒八九日、之れを下し、胸満、煩し、驚す。小便不利、譫語し一身盡く重く転側すべからざる者、
柴胡加竜骨牡蛎湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陽病脉證併治中第六」の第79条より
●傷寒十三日解せず、胸脇満して嘔し、日晡所、潮熱を発し已って而して微利するは、此れ本と柴胡の證、之れを下して利すること得ざるに、今反って利する者は、醫、丸薬を以って之れを下すを知る、其の治に非ざるなり、潮熱する者は、實なり、先ず宜しく小柴胡湯にて、以って外を解し、後、柴胡加芒硝湯を以って之れを主どるべし。

傷寒論「辨太陽病脈證併治中第六」の第7条より
●太陽病十日以去、脈浮細にして臥するを嗜む者は、外已に解するなり、設し胸満脇痛する者は、小柴胡湯を與へ、脈但だ浮なる者には麻黄湯を與ふ。


傷寒論「辨太陽病脈證併治中第六」の第69条より
●傷寒、五六日、中風、往来寒熱、胸脇苦満、黙黙として飮食を欲せず、心煩喜嘔し、或いは胸中煩して嘔せず、或いは渇し、或いは腹中痛み、或いは脇下痞硬し、或いは心下悸小便不利、或いは渇せず身に微熱あり、或いは欬する者は小柴胡湯を與へて之れを主どる。


傷寒論「辨太陽病脈證併治中第六」の第70条より
●血弱氣盡き、腠理開き、邪氣因って入れば、正気と相ひ搏ち、胸下に結ぼれ、正邪分争し、往来寒熱、休作時あり、黙黙として飮食を欲せず、藏府に相連ぬれば、其の痛み必ず下る、邪高く痛み下る、故に嘔せしむるなり、小柴胡湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陽病脈證併治中第六」の第72条より
●病を得て六七日、脈遅浮弱、風寒をにくみ、手足温、醫、二三之れを下し、食する能はず、而して脇下滿痛し、面目及び身黄、頸項強ばり、小便難き者は、柴胡湯を與ふれば、後必ず下重す、本と渇して水を飲み、嘔する者も、柴胡湯は與ふるに中らざるなり、穀を食する者は噦す。


傷寒論「辨太陽病脈證併治中第六」の第73条より
●傷寒四五日、身熱悪風し、頸項強ばり、胸下満、手足温にして渇する者は、小柴胡湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陽病脈證併治中第六」の第74条より
●傷寒陽脈澀、陰脈弦、法當に腹中急痛すべき者には、先ず小建中湯を與ふ、差えざる者は小柴胡湯を與へて之れを主どる。


傷寒論「辨太陽病脉證併治中第六」の第79条より
●傷寒十三日解せず、胸脇満して嘔し、日晡所、潮熱を発し已って而して微利するは、此れ本と柴胡の證、之れを下して利すること得ざるに、今反って利する者は、醫、丸薬を以って之れを下すを知る、其の治に非ざるなり、潮熱する者は、實なり、先ず宜しく小柴胡湯にて、以って外を解し、後、柴胡加芒硝湯を以って之れを主どるべし。

傷寒論「辨太陽病脉證併治中第六」の第78条より
●太陽病、過經十餘日、反って二三、之れを下し後四五日、柴胡の證仍ほ在る者には先づ小柴胡湯を與ふ、嘔止まず心下急、鬱鬱微煩する者は、未だ解せずと爲すなり、大柴胡湯を與へ、之れを下せば則ち愈ゆ。


傷寒論「辨太陽病脉證併治下第七」の第17条より
●婦人中風七八日、続いて寒熱を得発作時有り、経水適ま断つ者は、此れ熱血室に入ると為す、其の血必ず結す、故に瘧状の如く発作時有らしむ、小柴胡湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陽病脉證併治下第七」の第21条より
●傷寒五六日頭汗出で微悪寒、手足冷、心下満、口食するを欲せず、大便鞕く、脈細なる者は此れ陽微に結すると為す、必ず表に有り、復た裏に有るなり、脈沈も亦裏に在るなり、汗出づるを陽微と為す、もし純陰結すれば復た外證有るを得ず、悉く入りて裏に在り、此れは半ば裏に在り、半ば外に在りと為すなり、脈沈緊と雖も少陰の病と為すを得ず、然る所以の者は、陰は汗有るを得ざるに今頭汗出づ、故に少陰に非ざるを知るなり、小柴胡湯を與ふべし、設し了了たらざる者は、屎を得て解す。


傷寒論「辨陽明脈證併治第八」の第51条より
●陽明病、潮熱を発し、大便溏、小便自ら可、胸脇満去らざる者は、小柴胡湯之れを主どる。


傷寒論「辨陽明脈證併治第八」の第52条より
●陽明病、胸下鞕満大便せずして嘔し、舌上白胎の者は、小柴胡湯を與ふべし、上焦通ずるを得、津液下るを得て、胃氣因って和し、身に濈然として汗出で解するなり。


傷寒論「辨陽明脈證併治第八」の第53条より
●陽明の中風、脉弦浮大にして短氣、腹都て満、脇下及び心痛し久しく之れを按ずるも氣通ぜず、鼻乾き汗するを得ず、臥するを嗜み一身及び面目悉く黄、小便難、潮熱有りて時時噦す、耳の前後腫れ、之を刺せば、小しく差ゆるも外解せず、病十日を過ぎ、脉続いて浮の者は小柴胡湯を與ふ、脉但だ浮、餘證無き者は麻黄湯を與う、若し尿せず、腹満、噦を加ふる者は治せず。


傷寒論「辨少陽病脈證併治第九」の第4条より
●本と太陽病、解せず、轉じて少陽に入る者は、胸下鞕満、乾嘔、食する能はず、往来寒熱す、尚ほ未だ吐下せず、脈沈緊なる者は、小柴胡湯を與ふ。


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第55条より
金匱要略の「嘔吐噦下利病脈證併治第十七」の第17条より
●嘔して発熱する者は、小柴胡湯之れを主どる。


金匱要略「黄疸病脈證併治第十五」の第23条より
●諸の黄、腹痛んで嘔する者は、柴胡湯に宜し。


金匱要略「婦人産後病脈證併治第二十一」の第1条より
●産婦鬱冒は、其の脈微弱、嘔して食する能はず、大便反って堅く、但だ頭汗出づ、然る所以の者は、血虚して厥す、厥して必ず冒す、冒家解せんと欲すれば、必ず大いに汗出づ、血虚下厥し、弧陽上に出づるをもっての故に、頭汗出づ、産婦しばしば汗出づる所以者は、陰を亡ぼし血虚し、陽気独り盛んなるがゆえに當に汗出でて、陰陽すなはち復すべし、大便堅く、嘔して食する能はざるは、小柴胡湯之れをつかさどる。


金匱要略「婦人産後病脈證併治第二十一」の第11条より
●千金三物黄芩湯は、婦人草蓐ありて自ら発露し風を得たるを治す、四肢苦煩熱、頭痛する者は小柴胡湯を與へ、頭痛まず但だ煩する者は、此の湯之れを主どる。


金匱要略「瘧病脈證併治第四」の第7条より
柴胡去半夏加括蔞湯は瘧病、渇を発する者を治し亦勞瘧をも治す。


傷寒論「辨太陽病脉證併治下第七」の第19条より
●傷寒六七日、発熱微悪寒、支節煩疼、微嘔、心下支結、外證未だ去らざる者は、柴胡桂枝湯之れを主どる。


傷寒論「辨発汗後病脉證併治第十七」の第1条より
●汗を発すること多く、亡陽譫語する者は、下すべからず、柴胡桂枝湯を與へ、其の榮衛を和し、以って津液を通ずれば後ち自ら愈ゆ。


金匱要略「腹満寒疝宿食病脈證併治第十」の第22条より
●外臺柴胡桂枝湯の方、心腹卒中痛する者を治す。


傷寒論「辨太陽脈證併治下第七」の第20条より
●傷寒五六日已に発汗して復た之れを下し、胸脇満、微結し、小便不利、渇して、嘔せず、但頭汗出で、往来寒熱、心煩する者は、此れ未だ解せざると為す、柴胡桂枝乾姜湯之れを主どる。


金匱要略「瘧病脈證併治第四」の第8条より
柴胡桂薑湯は、瘧寒多く微に熱有り或は但寒して熱せざるを治す。


柴胡の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 半表半裏の熱を去る、故に胸脇苦満、胸中痛、心煩、往来寒熱、頸項強、胸下痞鞕、心下満等を治す。
の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 黄芩は熱を和し熱より生ずる心下痞、下痢、腹痛、身熱等を治すること黄連の如し而かもこの場合心。叉黄連は上部にゆくこと多く、黄芩は下部にゆく事多きものなり、またよく黄連に伍して用いられお互いにその効をつよむる事を為す。
半夏の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 半夏は氣を補ひ水を去る故によく嘔吐、腹中雷鳴、咳逆等を治す。叉咽痛を治す。
生姜の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 生姜味辛温、氣を扶け外を實す、之れ生姜の発汗薬に多く用ひらるる所以なり。
人参の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 乾きを潤し、しぶりを緩む。故に心下痞、痞堅、身痛、下痢、喜嘔、心痛、その他を治す。
甘草の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
大棗の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 攣引とはひきつり引かるる事なり、強急とはこはばりつまるなり、則ち大棗に緩和の効あるものと見ゆ、叉大棗には血の循りを良くするのハタラキあり。
牡蠣の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 牡蠣は味鹹平乾きを潤し血氣の行を調へ和す、故に胸脇下の痞へを柔らげ或は寒瘧を治し或は水氣を除き又は驚きを鎮むる等の能をなす。
の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 括蔞根は之を本経の説及び傷寒金匱に用いらるる所とより考うれば渇を主どること疑いなかるべし、叉熱を消し小便を利し急を和する効ありとなす。而してその急を和する趣むきやや葛根に比すべし。本品は渇を治するも石膏と同じからず。小便を利するも茯苓と異なる。深重なる観察と周到なる注意とにより始めて之れを悟り得べきものならん。因みに述ぶ葛根は味甘平なり、石膏は味辛微寒なり、茯苓は味甘平なりと。
桂枝の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桂枝は味辛温、汗を発し表を調う、叉衝逆を主どると謂わる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云う、動悸頭痛息切れ肩のはり等此れ衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時はよく此衝逆を発す、桂枝よく表を救う、故に斯く称するものなるべし。
乾姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、味辛温、胸満欬逆上気を主をどり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる。生者尤も良し、久服すれば息気をまもり神明に通ずと。
薬徴に曰く 結滞水毒を主治するなり、旁ら嘔吐、咳、下痢、厥冷、煩躁、腹痛、胸痛、腰痛を治す。生の生姜と乾かした生姜とは元一物にして薬効大いに異なる、自然の妙瘍まことに窮究し難きもの多し、而して乾姜の場合は散辛化して歛辛となる、生姜は進むことを主どり乾姜は守ることを主どる、万物の変化まことに計り知るべからざる所あり、乾姜は深きを温むる効あり、故に厥を回し下痢を止め嘔を治す。
芍薬の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 結實とは凝りの事なり、拘攣とは引かれ引きつらるるを謂うなり、芍薬はよくたるみを引きしめ痛みを除くの効あり、結實も拘攣も弛みより来るものと見るべし。
枳實の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 味苦寒、熱をさまし、しこりを消すの効あり。又痛みをゆるめ腫を去る、故に諸の熱實病又は癰腫等を治するに用いらる。
龍骨の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 龍骨は内を補ひ縮まりを緩め血氣を調へ和す、故にボクは本品に頭をやすめ氣を落付かせ疲労を治する能ありと言ふ。
茯苓の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 水を収め乾きを潤しその不和を調ふ故に動悸を鎮め衝逆を緩下し水を利して眩悸等を治す。
大黄の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 味苦寒、裏に熱ありて大便出でず便秘し叉は下痢するを治す。叉腹痛、腹満を治す。或は内に熱あり、胃につかえありて吐する者を治す。或は頭痛する者を治す。大黄の行く所は内に熱あるが主なれば小便の色濃く口中燥き叉は眼の中赤き者等多し。
芒消の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 味苦寒、芒消は味苦寒燥けるを潤ほし熱を鎮め血行を能くするの効あり、故に裏に熱ある諸病に用ふ。
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by shizennori | 2007-12-12 20:20 | 19.柴胡剤の薬味の相違

18.當歸四逆湯と當歸四逆加呉茱萸生薑湯の薬味の構成

当帰四逆湯の薬味は、桂枝湯の生薑のかわりに當歸、細辛、通艸(木通)になっています。
当帰四逆湯は桂枝湯の表虚に加えて、体の中の冷えているものに使用いたします。


ここに、桂枝湯と当帰四逆湯と當歸四逆加呉茱萸生薑湯の薬味の違いを表にしてみました。

○当帰四逆湯の類処方の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論より条文を引用してみますと

傷寒論「辨太陽病脈證併治法上第五」の第13条より
●太陽の中風は陽浮にして陰弱、陽浮なる者は熱自から発し陰弱なる者は汗自から出づ、嗇嗇として悪寒し淅淅と悪風し翕翕と発熱し鼻鳴、乾嘔する者は桂枝湯之を主どる

傷寒論「辨太陽病脈證併治法上第五」の第14条」より
●太陽病、頭痛、発熱、汗出でて悪風する者は桂枝湯之を主どる。


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第26条」より
●手足厥寒し、脈絶せんと欲する者は、當歸四逆湯之れを主どる。


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第27条」より
●若しも其の人、内に久寒有る者は、宜しく當歸四逆加呉茱萸生薑湯之れを主どるべし。


桂枝の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、上気欬逆、結気、喉痺、吐吸を主り、関節を利し、中を補い血を益す
薬徴に曰く 桂枝主治衝逆なり傍ら奔豚頭痛発熱悪風汗出身痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桂枝は味辛温、汗を発し表を調う、叉衝逆を主どると謂わる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云う、動悸頭痛息切れ肩のはり等此れ衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時はよく此衝逆を発す、桂枝よく表を救う、故に斯く称するものなるべし。
芍薬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦平、邪気腹痛を主どり血痺を除き堅積を破り寒熱疝瘕を主どり痛を止め小便を利し氣を益すと。
薬徴に曰く 結實して拘攣するを主治し旁ら腹痛、頭痛、身体不仁、疼痛、腹満、咳逆、下痢、腫膿を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 結實とは凝りの事なり、拘攣とは引かれ引きつらるるを謂うなり、芍薬はよくたるみを引きしめ痛みを除くの効あり、結實も拘攣も弛みより来るものと見るべし。
甘草の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
生姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、胸満欬逆上氣を主どり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる生なる者尤も良し久服すれば息氣を主どり神明に通ずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 生姜味辛温、氣を扶け外を實す、之れ生姜の発汗薬に多く用ひらるる所以なり。
大棗の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、心腹邪気を主どり中を安んじ脾を養ひ十二経を助け胃氣を平にし九竅を通じ少氣少津液身中の不足大驚四肢重を補ひ百薬を和し久服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 攣引強急を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 攣引とはひきつり引かるる事なり、強急とはこはばりつまるなり、則ち大棗に緩和の効あるものと見ゆ、叉大棗には血の循りを良くするのハタラキあり。
當帰の氣味と効用について
神農本草経に曰く 當帰味甘温、欬逆上氣、温瘧寒熱洗洗皮膚中に在り婦人漏下子を絶つを主どる諸悪瘡瘍金瘡の者之を飲ますと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 當帰味甘温、中を緩め外の寒を退け氣血の行りをよくすることを主どる、故に手足を温め、腹痛を治し、内を調へ血を和し胎を安んず、之れ當帰の好んで婦人血の道の諸病、諸の冷え込み等に用ひらるる所以なるべし。
細辛の氣味と効用について
神農本草経に曰く 細辛味辛温、欬逆上氣頭痛脳動百節拘攣風濕痺痛死肌を主どり久服すれば目を明らかに九竅を利し身を軽くし年を長くすと。
薬徴に曰く 細辛主治宿飲停水也故に水氣心下に在りて咳満し、或は上逆し或は脇痛するを治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 細辛は中を温め、寒を去り、痛みを除き、痰を消し、咳嗽を治す。
通艸(木通)の氣味と効用について
神農本草経に曰く 通草味辛平、悪蟲を去り脾胃の寒熱を除き九竅血脉關節を通利し人をして忘れざらしむるを主どると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 通艸味辛平氣を通じ血を循らし、よく手足を煖む。故に當歸四逆湯に配伍せられ、手足の厥逆を治するに用ひらる。
呉茱萸の氣味と効用について
神農本草経に曰く 呉茱萸味辛温、中を温め氣を下し痛を止どめ欬逆寒熱を主どり濕血痺を除き風邪を逐ひ腠理を開くと。
薬徴に曰く 呉茱萸は嘔して胸満するを主治する也と。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 呉茱萸味辛温胃中を温め其の働きを鼓舞す。故に停水を去り吐き気を治し下利を止どめ手足を温めまた頭痛を治す。
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by shizennori | 2007-12-04 16:33 | 18.當歸四逆湯の加減方

17.括蔞実・薤白剤の薬味

括蔞実と薤白を中心にした方剤を金匱要略から取り出してみました。

其の方剤は、金匱要略の「胸痺心痛短氣病脈證治第九」にあります。
括蔞実〔苦寒〕で血熱を除き、薤白〔辛温〕で氣を益し氣を散じます。

ここに、括蔞実と薤白を中心にした方剤を表にしてみました。


括蔞実と薤白の方剤の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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金匱要略より条文を引用してみますと

金匱要略「胸痺心痛短氣病脈證治第九」の第3条より
●胸痺の病、喘息咳唾、胸背痛短氣し、寸口の脈、沈にして遅、關上小緊數なるは、括蔞薤白白酒湯之れを主どる。


金匱要略「胸痺心痛短氣病脈證治第九」の第4条より
●胸痺、臥するを得ず、心痛背に徹する者は、括蔞薤白半夏湯之れを主どる。


金匱要略「胸痺心痛短氣病脈證治第九」の第5条より
●胸痺、心中痞、留氣結ぼれて胸にあり、胸満脇下、心を逆搶するは、枳實薤白桂枝湯之れを主どる、人参湯も亦、之れを主どる。


括蔞の氣味と効用について
薬徴に曰く 括蔞実主治胸痺也旁ら痰飲を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 味緩和にして血熱を除き燥きを潤ほし氣を通ず故によく胸脇部の疼痛を去り氣血の通行を滑らかにすることをなす。
薤白の氣味と効用について
神農本草経に曰く 薤味辛温、金瘡や瘡の敗れたるを主どる、身を軽くし飢えず老に耐ふと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 薤は味辛温氣を益し氣を散じ中を和し胸痺の胸背痛を治す故に胸痺病に用ひらる。
白酒の効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)酒の効のうすきものなれば白酒は緩かに血行を促して薬力を助くるものと考ふべし。
半夏の氣味と効用について
神農本草経に曰く 半夏味辛平、傷寒寒熱心下堅を主どり氣を下し咽喉腫痛頭眩胸脹欬逆を主どり腸鳴を主どり汗を止どむと。
薬徴に曰く 半夏主治痰飲嘔吐也旁ら心痛逆満、咽中痛、欬、悸、腹中雷鳴を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 半夏は氣を補ひ水を去る故によく嘔吐、腹中雷鳴、咳逆等を治す。叉咽痛を治す。
枳實
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 枳實味苦寒、大風皮膚中に在り麻豆の如く痒きを苦しむを主どり寒熱の結を除き痢を止め肌肉を長じ五臓を利し氣を益し身を軽くすと。 
薬徴に曰く 枳實主治結實の毒なり旁ら胸満胸痺腹満腹痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 味苦寒、熱をさまし、しこりを消すの効あり。又痛みをゆるめ腫を去る、故に諸の熱實病又は癰腫等を治するに用いらる。
厚朴の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦温、中風傷寒頭痛寒熱驚悸の氣血痺死肌を主どり三蟲を去ると。
薬徴に曰く 主治胸腹脹満なり旁ら腹痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 腹を温め腹満を除く。叉胸満、咳、喘、上氣等を治し、或は咽喉の塞へを治す。併し其の根元は腹満にあり。
桂枝の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、上気欬逆、結気、喉痺、吐吸を主り、関節を利し、中を補い血を益す
薬徴に曰く 桂枝主治衝逆なり傍ら奔豚頭痛発熱悪風汗出身痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桂枝は味辛温、汗を発し表を調う、叉衝逆を主どると謂わる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云う、動悸頭痛息切れ肩のはり等此れ衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時はよく此衝逆を発す、桂枝よく表を救う、故に斯く称するものなるべし。
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by shizennori | 2007-12-02 13:23 | 17.括蔞実・薤白剤の薬味