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31.桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯類処方

桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯は、表裏にわたって冷えています。
陽氣不足冷え(裏寒)血虚より気分をおこしています。

桂枝去芍薬湯は、下した為に下の方が虚して、上の方へ熱が行き、上焦に胸満という症状が起きています。そこに表の陽氣が虚している為に発汗できずに、胸に熱がこもってしまっています。

桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯の類処方の比較をしてみました。


○桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯類の薬味の相違
(新古方薬嚢の薬味の分量)

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〔新古方薬嚢〕より
●桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯を用ふべき病證
心下胃のあたりに堅きしこりあり大きさは手掌大にして其のまわりは盃をなぜる様な案梅の者のあるのが主證なり。多少身體に腫みのある者。但し軽き者は心下に重苦しき感じありてそれ程に堅くはならず、手足しびれ又は痛む者、熱はある者もあり、無きものあり一定ならず、半身冷えてしびれる者あり、熱なき者は大抵脈遅なり。
●桂枝去芍薬湯を用ふべき證
太陽病を下したるが為、脉が促となり胸中がみちつまって苦しむ者。太陽病とは大抵風邪の初期又は熱病の初めで脉がとっとと浮いて早く打ち頭痛や背痛などがあって悪寒する者の事。悪寒とはさむけの事、脉の促とは脉の打ち方が早く時々數をとばすこと、則ち一二三四と行かずに一二三五と飛ばす事あるもの、本方は胸のはるのと脉の促なのとを目標として用ふべし、脉の早いか遅いか止るか止らぬか位は患者自身又は近親の者にても容易に判るものなり。
●麻黄附子細辛湯を用ふる證
風邪その他にて発熱するも熱甚だ高からず、身體何となく力無く氣力乏しくして唯臥するを欲する者、悪寒の様子普通の風邪の如く強くぞくぞくする者よりも唯何となく、そう毛立ちて熱っぽしと言ふ者多し、唯かつたるがってゴロゴロしたがると云ふが目的なり。咳は出ることあり。出ぬこともあり。併し大概は出るもの多し、脉の沈んで細かい所を注意すれば尚更本方の證は確実なり。本方は老人小兒のみに非ず。一般の風引きに応用多し。

傷寒論・金匱要略より条文を引用してみますと

金匱要略「水氣病脈證治第十四」の第31条より
●気分、心下堅く、大いさ盤の如く、邊、旋杯の如きは、水飲のなすところ、桂枝去芍薬加麻辛附子湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陽病脈證并治法上第五」の第23条より
●太陽病、之れを下したる後、脈促、胸満する者は、桂枝去芍薬湯之れを主どる、若し微に悪寒する者は、去芍薬方中加附子湯之れを主どる。


傷寒論「辨少陰病脈證并治第十一」の第21条より
●少陰病、始めて之れを得て、反て発熱、脈沈なる者は、麻黄附子細辛湯之れを主どる。


桂枝
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、上気欬逆、結気、喉痺、吐吸を主り、関節を利し、中を補い血を益す
薬徴に曰く 桂枝主治衝逆なり傍ら奔豚頭痛発熱悪風汗出身痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桂枝は味辛温、汗を発し表を調う、叉衝逆を主どると謂わる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云う、動悸頭痛息切れ肩のはり等此れ衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時はよく此衝逆を発す、桂枝よく表を救う、故に斯く称するものなるべし。
生姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、胸満欬逆上氣を主どり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる生なる者尤も良し久服すれば息氣を主どり神明に通ずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 生姜味辛温、氣を扶け外を實す、之れ生姜の発汗薬に多く用ひらるる所以なり。
大棗の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、心腹邪気を主どり中を安んじ脾を養ひ十二経を助け胃氣を平にし九竅を通じ少氣少津液身中の不足大驚四肢重を補ひ百薬を和し久服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 攣引強急を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 攣引とはひきつり引かるる事なり、強急とはこはばりつまるなり、則ち大棗に緩和の効あるものと見ゆ、叉大棗には血の循りを良くするのハタラキあり。
甘草の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
麻黄の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦温、中風傷寒頭痛温瘧をつかさどり表を発し汗を出だし邪熱の氣を去り欬逆上氣を止どめ寒熱を除き癥堅積聚を破る。
薬徴に曰く 麻黄主治喘咳水氣也旁ら悪風悪寒無汗身疼骨節痛一身黄腫を治す。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く よく表裏の水を逐う。故に汗を発し熱を解し喘を除き咳を鎮め、痛みを去り悪風寒を止どめ水氣を消す。
細辛の氣味と効用について
神農本草経に曰く 細辛味辛温、欬逆上氣頭痛脳動百節拘攣風濕痺痛死肌を主どり久服すれば目を明らかに九竅を利し身を軽くし年を長くすと。
薬徴に曰く 細辛主治宿飲停水也故に水氣心下に在りて咳満し、或は上逆し或は脇痛するを治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 細辛は中を温め、寒を去り、痛みを除き、痰を消し、咳嗽を治す。
附子の氣味と効用について
薬徴に曰く 逐水を主どるなり、故によく悪寒身体四肢及骨節疼痛或沈重或不仁或厥冷を治し旁ら腹痛失精下痢するを治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 附子味辛温、表を實し陽を益し津液を保つ故に悪寒し厥冷を復す。
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by shizennori | 2008-10-28 12:49 | 31.桂姜棗草黄辛附湯類