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28.当帰散と白朮散の薬味の相違

妊娠のとき、よく使用される処方の比較をしてみました。妊娠中の養生薬であり、安産の薬であります、当帰散があります。また、冷え性で流産しやすい方の白朮散があります。

一般的によく使用される当帰芍薬散との薬味の比較をしてみました。


○当帰芍薬散と当帰散と白朮散の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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〔新古方薬嚢〕より
●当帰芍薬散は、当帰・芍薬・茯苓・白朮・澤瀉・川芎の六味を粉末となし、合して散を作り一回二グラム宛小盃一杯の清酒に混じ服用すべし、一日三回食前一時間。

●当帰散は当帰・黄芩・芍薬・芎藭・白朮の五味を粉末となし合わせて散を作り一回に二グラム宛小盃一杯の清酒中に入れ、かきませ服用すべし。一日二回午前午後の各空腹時に。
●白朮散は、白朮・芎藭・蜀椒・牡蠣の四味を密によく相和し一回1.0グラムを小盃一杯の清酒中に入れよく混和し服用すべし。或は最初は0.5グラムぐらいより試みるも亦佳なり。一日三回夜中一回服用。

金匱要略より条文を引用してみますと

金匱要略「婦人妊娠病脈證并治第二十」の第5条より
●婦人懐妊、腹中疞痛するは、当帰芍薬散之を主どる。

金匱要略「婦人雑病脈證并治第二十二」の第17条より
●婦人腹中諸疾痛するは、当帰芍薬散之を主どる。

金匱要略「婦人妊娠病脈證并治第二十」の第9条より
●婦人妊娠、常に服するに宜し、当帰散之れを主どる。

金匱要略「婦人妊娠病脈證并治第二十」の第10条より
●妊娠、胎を養うは白朮散之れを主どる。

當帰
の氣味と効用について

神農本草経に曰く 當帰味甘温、欬逆上氣、温瘧寒熱洗洗皮膚中に在り婦人漏下子を絶つを主どる諸悪瘡瘍金瘡の者之を飲ますと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 當帰味甘温、中を緩め外の寒を退け氣血の行りをよくすることを主どる、故に手足を温め、腹痛を治し、内を調へ血を和し胎を安んず、之れ當帰の好んで婦人血の道の諸病、諸の冷え込み等に用ひらるる所以なるべし。
芍薬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦平、邪気腹痛を主どり血痺を除き堅積を破り寒熱疝瘕を主どり痛を止め小便を利し氣を益すと。
薬徴に曰く 結實して拘攣するを主治し旁ら腹痛、頭痛、身体不仁、疼痛、腹満、咳逆、下痢、腫膿を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 結實とは凝りの事なり、拘攣とは引かれ引きつらるるを謂うなり、芍薬はよくたるみを引きしめ痛みを除くの効あり、結實も拘攣も弛みより来るものと見るべし。
茯苓の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、胸脇逆氣憂恚驚邪恐悸心下結痛、寒熱煩満欬逆口焦舌乾を主どり小便を利し久服すれば魂を安んず神を養ひ飢えず年を延ぶと。
薬徴に曰く 茯苓の主治は悸及び肉じゅん筋惕なり旁ら小便不利、頭眩、煩燥を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 水を収め乾きを潤しその不和を調ふ故に動悸を鎮め衝逆を緩下し水を利して眩悸等を治す。
白朮の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦温、風寒湿痺死肌痙疽を主どり汗を止め熱を除き食を消す。煎と作して餌すれば久しく服して身を軽くし年を延べ飢えずと。
薬徴に曰く 利水を主どるなり、故によく小便自利不利を治し旁ら身煩疼痰飲、失精、眩冒、下痢、喜唾を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 水をさばきその滞りを除きよく小便を調ふ。故に小便不利、小便自利を治す。不利は出工合悪きを謂ふ。叉小便少なきをも言ふ。自利はよく出る者を言ふ。則ち出過ぎる者の事。小便の出が悪い筈なのに反って出の好い者の事も自利と謂ふ。小便が少なくて下痢する者、小便の出が好くて便秘する者、筋や骨の痛む者、めまひのする者、頭の重い者、胃がふくれて食進まず或いは吐く者、朮のゆくべき場合には必ず小便の出工合を確むべし。
澤瀉の氣味と効用について
神農本草経に曰く 澤瀉味甘寒、風寒濕痹乳難を主どり水を消し五臓を養ひ氣力を益し肥健せしむるを主どる久服すれば耳目聡明饑えず年を延べ身を軽くし面に光りを生じ能く水上を行かしむと。
薬徴に曰く 澤瀉主治小便不利冒眩なり旁ら渇を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 熱を去り燥きを潤すことをなす、故に刺戟を緩和することを主どる、その主目標は、渇ありて水を欲するもの、冒眩あるもの、小便不利あるもの等なり。
芎藭の氣味と効用について
神農本草経に曰く 芎藭味辛温、中風脳に入り頭痛するのや、寒痺にて筋の攣り緩急あるのや、金瘡や、婦人血閉して子の無きのやなどを主どると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 川芎味辛温、氣のめぐりを良くしのぼせを下げ頭を軽くし腹痛を治し月経不順を調へ又は下血を止どめ或は胎児を安んず、芎藭は當歸と合用せられ諸種の婦人病、昔時の所謂血の道に応用せらる此れ等は皆氣の滞りを散じ血行を順にさせる為と思われます。
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦平、諸熱黄疸腸澼洩痢を主どり水を逐ひ血閉を下し悪瘡疽蝕火瘍を主どると。
薬徴に曰く 黄芩の主治心下痞なり旁ら胸脇満嘔吐、下痢を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 黄芩は熱を和し熱より生ずる心下痞、下痢、腹痛、身熱等を治すること黄連の如し而かもこの場合心。叉黄連は上部にゆくこと多く、黄芩は下部にゆく事多きものなり、またよく黄連に伍して用いられお互いにその効をつよむる事を為す。
蜀椒
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 蜀椒味辛温、邪氣欬逆中を温め骨節皮膚の死肌を逐ひ寒濕痺痛を主り氣を下す久しく之を服すれば頭白からず身を軽くし年を増すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 蜀椒味辛温、腹中を温め腹痛を治す。又腹中の蟲を殺す力ありと言ふ。
牡蠣の氣味と効用について
神農本草経に曰く 牡蠣味鹹平、傷寒寒熱温虐灑灑驚恚怒氣を主どり拘を除き鼠瘻を緩め女子帶下赤白を主どる久服すれば骨節を強め邪氣を殺し年を延ぶと。
薬徴に曰く 牡蠣主治胸腹之動なり、旁ら驚狂煩躁を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 牡蠣は味鹹平乾きを潤し血氣の行を調へ和す、故に胸脇下の痞へを柔らげ或は寒瘧を治し或は水氣を除き又は驚きを鎮むる等の能をなす。
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by shizennori | 2008-05-31 15:52 | 28.当帰散と白朮散の相違