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26.白虎湯類の処方の薬味の相違

知母〔苦寒〕石膏〔辛微寒〕の薬味が中心になる白虎湯類の薬味の相違を考えてみました。

白虎湯・白虎加人参湯・白虎加桂枝湯の薬味の相違を表にしてみました


○白虎湯類の処方の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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〔新古方薬嚢〕より
●白虎湯を用ふべき病證
〔皮膚の内に熱ある為、身熱したり身體痛みたり、のど渇きたり、皮膚に発疹したりする者〕

●白虎加人参湯を用ふべき病證
〔汗出で、さむけあり大いに渇して水を呑みたがる者、熱なく唯背中ぞくぞくとして悪寒し口中乾いて頻りに水を飲みたがるもの。汗が出て悪寒する癖に非常に熱がって水を呑む者〕

●白虎加桂枝湯を用ふべき病證
〔熱ありて唯熱がり悪寒せざる者。身體に痛みある者、時に嘔き氣ある者〕


傷寒論・金匱要略より条文を引用してみますと

傷寒論「辨太陽脈證并治下第七」の第49条より
●傷寒脈浮滑、此れ表に熱有り裏に寒有り、白虎湯之れを主どる。

傷寒論「辨陽明脈證并治第八」の第43条より
●三陽合病、腹満身重以て轉側し難く、口不仁にして面垢、讝語遺尿し、汗を発すれば則ち讝語し、之を下せば則ち額上汗を生じ手足逆冷す、若し自汗出づる者は白虎湯之れを主どる。

傷寒論「辨厥陰病脈證并治第十二」の第25条より
●傷寒、脈滑にして厥する者は、裏に熱有るなり、白虎湯之れを主どる。

傷寒論「辨太陽病脈證并治上第五」の第27条より
●桂枝湯を服し大いに汗出でたる後、大煩渇解せず脈洪大なる者は白虎加人参湯之れを主どる。

傷寒論「辨太陽脈證并治下第七」の第41条より
●傷寒、病ひ若しくは吐し若しくは下して後七八日解せず、熱結裏に在り、表裏倶に熱し、時時悪風、大いに渇し舌上乾燥して煩し、水数升を飲まんと欲する者は、白虎加人参湯之れを主どる。

傷寒論「辨太陽脈證并治下第七」の第42条より
●傷寒大熱無く口燥渇心煩背微に悪寒する者は、白虎加人参湯之れを主どる。

傷寒論「辨太陽脈證并治下第七」の第43条より
●傷寒脈浮発熱汗無く、其の表解せざる者は、白虎湯を與ふべからず、渇して水を飲まんと欲し表證無き者は、白虎加人参湯之れを主どる。

傷寒論「辨陽明脈證併治第八」の第45条より
●陽明病脈浮にして緊、咽喉口苦腹満して喘、発熱汗出で悪寒せず反って悪熱身重す、若し汗を発すれば則ち燥し心憒憒として反って譫語し、若し焼き鍼を加わうれば必ず怵惕煩燥眠るを得ず、若し之を下せば則ち胃中空虚客気膈を動じ心中懊憹す、舌上胎の者は、梔子豉湯之を主どる。若し渇して水を飲まんと欲し口乾舌燥する者は、白虎加人参湯
之れを主どる。


金匱要略「瘧病脈證併治第四」の第3条より
●師の曰く陰氣孤絶し陽氣独り発すれば則ち熱して少氣煩寃し手足熱して嘔せんと欲す名づけて癉瘧と曰ふ、若し但熱して寒がらざる者は、邪氣内心に藏れ外分肉の間に舎まり人をして消鑠脱肉せしむ。

金匱要略「瘧病脈證併治第四」の第4条より
●温虐の者は、其の脈平の如く、身に寒なく但熱し骨節疼煩して時に嘔す、白虎加桂枝湯之れを主どる。

知母
の氣味と効用について

神農本草経に曰く 味苦寒、消渇熱中の邪氣を除き、肢體の浮腫を主どり、水を下し不足を補ひ氣を益すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 熱を収め、痛みを去り、腫れを消す。本品の熱を去るは内の熱にして外の熱に非ず故に内熱ある者に用ひて外熱のものには用ふる事なし。内熱と外熱の見分け方。内熱のものは口乾き、身重く、汗出で、さむけはする事なし。外熱の者は大抵口中乾かず、汗は出る者もあり無き者もあり、必ず悪寒あるものなり。熱あり、疼痛ありても身體は割合に重くはなし。
石膏
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 石膏味辛微寒、中風寒熱心下逆氣驚喘口乾舌焦息する能はず、腹中堅痛、邪鬼を除き産乳金瘡を主どる。
薬徴に曰く 主治煩渇也、旁ら譫語、煩躁、身熱を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 熱氣の泛乱を収め陽気の発散を助け熱による刺戟症状を緩解する能あるものの如し。
甘草の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
粳米の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 粳米味甘平燥きを潤し急を緩め力を強むるの効あり。
人参の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘微寒、五臓を補ひ精神を安んじ魂魄を定め驚悸を止どめ邪気を除き目を明らかにし心を開き智を益すことを主どり、久しく服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 主治心下痞堅、痞鞭、支結なり旁ら不食嘔吐喜唾、心痛、腹痛、煩悸を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 乾きを潤し、しぶりを緩む。故に心下痞、痞堅、身痛、下痢、喜嘔、心痛、その他を治す。
桂枝の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、上気欬逆、結気、喉痺、吐吸を主り、関節を利し、中を補い血を益す
薬徴に曰く 桂枝主治衝逆なり傍ら奔豚頭痛発熱悪風汗出身痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桂枝は味辛温、汗を発し表を調う、叉衝逆を主どると謂わる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云う、動悸頭痛息切れ肩のはり等此れ衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時はよく此衝逆を発す、桂枝よく表を救う、故に斯く称するものなるべし。
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by shizennori | 2008-04-25 22:09 | 26.白虎湯類の処方