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25.地黄の入った薬味の処方の相違

乾地黄は「金匱要略」では7方使用されており、生地黄は「傷寒論」では1方、「金匱要略」では3方使用されています。
乾地黄の使用されている処方は、芎帰膠艾湯・内補当帰建中湯加地黄阿膠・黄土湯・三物黄芩湯・八味丸・大黄しゃ蟲丸・薯蕷丸であります。

生地黄の使用されている処方は百合地黄湯・防已地黄湯・炙甘草湯であります。

ここでは、芎帰膠艾湯・内補当帰建中湯加地黄阿膠・黄土湯・三物黄芩湯の四つの処方の比較をしてみました。

○乾地黄の入った処方の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論・金匱要略より条文を引用してみますと

金匱要略「婦人妊娠病脈證併治第二十」の第4条より
●師曰く、婦人に漏下の者あり、半産の後、因って続いて下血、すべて絶えざる者あり、妊娠下血の者あり、假令し、妊娠して腹中痛むは、胞阻となす、膠艾湯之れを主どる。

金匱要略「婦人産後病脈證治第十二」第12条より
●千金内補當帰建中湯は、婦人産後の虚羸不足、腹中刺痛止まず、吸吸少氣し、或いは少腹拘急摩痛を苦しみ、腰背に引き、食飲する能はざるを治す、産後一月は日に四五剤を服し得て、善しと為す、人をして強壮ならしむる方。右の六味を、水一斗を以て、煮て三升を取り、分かち温めて、三服す、一日に盡さしむ、若し大虚ならば飴糖六両を加へ、湯成りて之れを入れ、火上において温めて、飴をして消さしむ、若し去血多きに過ぎ崩傷内衄止まざれば、地黄六両、阿膠二両を加へ、合わせて八味とし、湯成りて阿膠を加はふ、若し、當歸無ければ芎藭を以て之れに代へ、若し、生薑無ければ、乾薑を以て之れに代ふ。

金匱要略「驚悸吐衄下血胸満瘀血病脈證治第十六」の第15条より
●下血、先便、後血するは、これを遠血なり、黄土湯之れを主どる。


金匱要略「婦人産後病脈證併治第二十一」の第11条より
●千金三物黄芩湯は、婦人草蓐ありて自ら発露し風を得たるを治す、四肢苦煩熱、頭痛する者は小柴胡湯を與へ、頭痛まず但だ煩する者は、此の湯之れを主どる。


○生地黄の入った処方の薬味の相違
(新古方薬嚢の薬味の分量)
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炙甘草湯の生地黄16gが無ければ、生地黄の代わりに、乾地黄4gを使用する。(新古方薬嚢の薬味の分量)

金匱要略「百合狐惑陰陽毒病證治第三」の第5条より
●百合病吐下発汗を經ず、病の形ち初めの如き者は、百合地黄湯之れを主どる。


金匱要略「中風歴節病證并治第五」の第6条より
防已地黄湯は、病狂へる状の如く妄行、獨語休まず寒熱無く、其の脈浮なる者を治す。


金匱要略「血痺虚労病證并治第六」の第19条より
●千金翼炙甘草湯、一に復脈湯といふは、虚労不足汗出て悶、脈結、悸、行動常の如きは、百日を出でずして危やふく、急なる者は十一日に死するを治す。


乾地黄の氣味と効用について
神農本草経に曰く 乾地黄味甘寒、折趺絶筋傷中、血痺を逐ひ骨髓を填たし肌肉を長ずることを主どる、湯と作せば寒熱積聚を除き痹を除く、生者尤も良し、久服すれば身を軽くし老せずと。
薬徴に曰く 地黄は血證及び水病を主治する也と。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 地黄味甘寒、血の熱を涼し出血を止どめよく肌肉を潤し養う。故に腎気丸、三物黄芩湯、黄土湯、膠艾湯、炙甘草湯等に用いらる。これ等は皆つまる所は血を治する所にあるが故とみるべし。
芎藭の氣味と効用について
神農本草経に曰く 芎藭味辛温、中風脳に入り頭痛するのや、寒痺にて筋の攣り緩急あるのや、金瘡や、婦人血閉して子の無きのやなどを主どると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 川芎味辛温、氣のめぐりを良くしのぼせを下げ頭を軽くし腹痛を治し月経不順を調へ又は下血を止どめ或は胎児を安んず、芎藭は當歸と合用せられ諸種の婦人病、昔時の所謂血の道に応用せらる此れ等は皆氣の滞りを散じ血行を順にさせる為と思われます。
阿膠の氣味と効用について
神農本草経に曰く 阿膠味甘平、心腹内崩勞極灑灑として瘧状の如く腰腹痛四肢酸疼女子下血を主どり跆を安んず久しく服すれば身を軽くし氣を益すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 阿膠は味甘平、肌肉の傷れを治し急を緩るむることを主どると。故に出血を止どめ煩を去る。
甘草の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
艾葉の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 艾葉は味苦微温、身體を温めよく出血を止どむ。芎帰膠艾湯、柏葉湯等に配伍せらる。
當帰の氣味と効用について
神農本草経に曰く 當帰味甘温、欬逆上氣、温瘧寒熱洗洗皮膚中に在り婦人漏下子を絶つを主どる諸悪瘡瘍金瘡の者之を飲ますと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 當帰味甘温、中を緩め外の寒を退け氣血の行りをよくすることを主どる、故に手足を温め、腹痛を治し、内を調へ血を和し胎を安んず、之れ當帰の好んで婦人血の道の諸病、諸の冷え込み等に用ひらるる所以なるべし。
芍薬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦平、邪気腹痛を主どり血痺を除き堅積を破り寒熱疝瘕を主どり痛を止め小便を利し氣を益すと。
薬徴に曰く 結實して拘攣するを主治し旁ら腹痛、頭痛、身体不仁、疼痛、腹満、咳逆、下痢、腫膿を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 結實とは凝りの事なり、拘攣とは引かれ引きつらるるを謂うなり、芍薬はよくたるみを引きしめ痛みを除くの効あり、結實も拘攣も弛みより来るものと見るべし。
桂枝の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、上気欬逆、結気、喉痺、吐吸を主り、関節を利し、中を補い血を益す
薬徴に曰く 桂枝主治衝逆なり傍ら奔豚頭痛発熱悪風汗出身痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桂枝は味辛温、汗を発し表を調う、叉衝逆を主どると謂わる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云う、動悸頭痛息切れ肩のはり等此れ衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時はよく此衝逆を発す、桂枝よく表を救う、故に斯く称するものなるべし。
生姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、胸満欬逆上氣を主どり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる生なる者尤も良し久服すれば息氣を主どり神明に通ずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 生姜味辛温、氣を扶け外を實す、之れ生姜の発汗薬に多く用ひらるる所以なり。
大棗の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、心腹邪気を主どり中を安んじ脾を養ひ十二経を助け胃氣を平にし九竅を通じ少氣少津液身中の不足大驚四肢重を補ひ百薬を和し久服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 攣引強急を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 攣引とはひきつり引かるる事なり、強急とはこはばりつまるなり、則ち大棗に緩和の効あるものと見ゆ、叉大棗には血の循りを良くするのハタラキあり。
白朮の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦温、風寒湿痺死肌痙疽を主どり汗を止め熱を除き食を消す。煎と作して餌すれば久しく服して身を軽くし年を延べ飢えずと。
薬徴に曰く 利水を主どるなり、故によく小便自利不利を治し旁ら身煩疼痰飲、失精、眩冒、下痢、喜唾を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 水をさばきその滞りを除きよく小便を調ふ。故に小便不利、小便自利を治す。不利は出工合悪きを謂ふ。叉小便少なきをも言ふ。自利はよく出る者を言ふ。則ち出過ぎる者の事。小便の出が悪い筈なのに反って出の好い者の事も自利と謂ふ。小便が少なくて下痢する者、小便の出が好くて便秘する者、筋や骨の痛む者、めまひのする者、頭の重い者、胃がふくれて食進まず或いは吐く者、朮のゆくべき場合には必ず小便の出工合を確むべし。
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦平、諸熱黄疸腸澼洩痢を主どり水を逐ひ血閉を下し悪瘡疽蝕火瘍を主どると。
薬徴に曰く 黄芩の主治心下痞なり旁ら胸脇満嘔吐、下痢を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 黄芩は熱を和し熱より生ずる心下痞、下痢、腹痛、身熱等を治すること黄連の如し而かもこの場合心。叉黄連は上部にゆくこと多く、黄芩は下部にゆく事多きものなり、またよく黄連に伍して用いられお互いにその効をつよむる事を為す。
附子
の氣味と効用について
薬徴に曰く 逐水を主どるなり、故によく悪寒身体四肢及骨節疼痛或沈重或不仁或厥冷を治し旁ら腹痛失精下痢するを治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 附子味辛温、表を實し陽を益し津液を保つ故に悪寒し厥冷を復す。
竈中黄土(伏龍肝)の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 竈中黄土は味辛微温、よく冷えを退け鬱滞を散じ血を治す。又つはりに効ありと言はる。
苦参の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦寒、心腹結氣癥瘕積聚黄疸溺に餘瀝有るを主どり水を逐ひ癰腫を除き中を補ひ目を明らかにし涙を止どむと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 苦参は味苦寒、熱を去り、爛れを治す。又殺蟲の効有りと言はる。
防已の氣味と効用について
薬徴に曰く 防已水を治するを主どる也と。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 防已味辛平、氣を増し外部に在る水を利す、故に風水、皮水、を治し身重きを主どる。防已を用ふる所身重に重きを置くべし。
防風の氣味と効用について
神農本草経に曰く 防風味甘温、大風頭眩痛悪風風邪目盲見る所なく風周身を行り骨節疼痺煩満するを主どり久服すれば身を軽くすと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 防風味甘温、風を去り疼痛を治す。其の効當歸に似て少しく異る所あるものに似たり。
麦門冬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 麦門冬味甘平、心腹結気傷中傷飽胃絡脈絶羸痩短氣を主どる久服すれば身を軽くし老いず飢ゑずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 麦門冬味甘平、咳を鎮め咽喉の通りを好くし、熱を去る。特に虚弱の者の咳込み、微熱等を除く効あり。
麻子仁の氣味と効用について
神農本草経に曰く 麻子味甘平、中を補い氣を益し肥健不老を主どると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 麻子味甘平、内熱によりて燥き固まれるを潤ほしやわらぐるの効あり。
人参の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘微寒、五臓を補ひ精神を安んじ魂魄を定め驚悸を止どめ邪気を除き目を明らかにし心を開き智を益すことを主どり、久しく服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 主治心下痞堅、痞鞭、支結なり旁ら不食嘔吐喜唾、心痛、腹痛、煩悸を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 乾きを潤し、しぶりを緩む。故に心下痞、痞堅、身痛、下痢、喜嘔、心痛、その他を治す。
百合の氣味と効用について
神農本草経に曰く 百合味甘平、邪氣腹脹心痛を主どり大小便を利し中を補ひ氣を益すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 百合味甘平中を緩め氣を和し調ふことを主どる、故に百合病に用ひらる。
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by shizennori | 2008-04-19 17:04 | 25.地黄の薬味の処方