カテゴリ:22.麦門冬の薬味の処方( 1 )

22.麦門冬の入った処方の薬味の相違

麦門冬〔甘平〕の薬味の入った処方の薬味の相違を考えてみました。
その処方は、麦門冬湯・竹葉石膏湯・炙甘草湯・温経湯・薯蕷丸があります。
ここでは、薯蕷丸は除いておきます。

麦門冬湯・竹葉石膏湯・炙甘草湯・温経湯の薬味の相違を表にしてみました。


○麦門冬の入った処方の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論・金匱要略より条文を引用しますと

金匱要略「肺痿肺癰欬嗽上気病脈證治第七」の第11条より
●大逆上気、咽喉不利、逆を止め、氣を下す者、麦門冬湯之れを主どる。


傷寒論「辨陰陽易差後勞復病證併治第十四」の第6条より
●傷寒解して後、虚羸少氣し、氣逆して吐せんと欲する者は竹葉石膏湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陽脉證併治下第七」の第50条より
●傷寒、脈結代、心動悸するは、炙甘草湯之れを主どる。


金匱要略「血痺虚労病脈證併治第六」の第19条より
●千金翼炙甘草湯、虚労不足汗出でて悶、脈結、悸し、行動常の如きは、百日を出でずして危うく、急なる者は、十一日に死するを治す。


金匱要略「肺痿肺癰欬嗽上気病脈證治第七」の第11条より
●附方、外臺炙甘草湯、肺痿涎唾多く、心中温温液液の者を治す。


金匱要略「婦人雑病脈證併治第二十二」の第9条より
●問いて曰く、婦人年五十ばかり、下利を病み、数十日止まず、暮には即ち発熱し、少腹裏急、腹満、手掌煩熱し、唇口乾燥するは、何ぞや、師曰く、この病は帶下に属す、何を以ての故に、かって半産を経て、瘀血、少腹に在り手て去らず、何を以て此れを知る、其の證、唇口乾燥するが故に此れを知る、
當に温経湯を以て之れを主どるべし。


麦門冬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 麦門冬味甘平、心腹結気傷中傷飽胃絡脈絶羸痩短氣を主どる久服すれば身を軽くし老いず飢ゑずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 麦門冬味甘平、咳を鎮め咽喉の通りを好くし、熱を去る。特に虚弱の者の咳込み、微熱等を除く効あり。
半夏の氣味と効用について
神農本草経に曰く 半夏味辛平、傷寒寒熱心下堅を主どり氣を下し咽喉腫痛頭眩胸脹欬逆を主どり腸鳴を主どり汗を止どむと。
薬徴に曰く 半夏主治痰飲嘔吐也旁ら心痛逆満、咽中痛、欬、悸、腹中雷鳴を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 半夏は氣を補ひ水を去る故によく嘔吐、腹中雷鳴、咳逆等を治す。叉咽痛を治す。
人参
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘微寒、五臓を補ひ精神を安んじ魂魄を定め驚悸を止どめ邪気を除き目を明らかにし心を開き智を益すことを主どり、久しく服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 主治心下痞堅、痞鞭、支結なり旁ら不食嘔吐喜唾、心痛、腹痛、煩悸を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 乾きを潤し、しぶりを緩む。故に心下痞、痞堅、身痛、下痢、喜嘔、心痛、その他を治す。
甘草の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
粳米の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 粳米味甘平、燥きを潤し急を緩め力を強むるの効あり。
大棗の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、心腹邪気を主どり中を安んじ脾を養ひ十二経を助け胃氣を平にし九竅を通じ少氣少津液身中の不足大驚四肢重を補ひ百薬を和し久服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 攣引強急を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 攣引とはひきつり引かるる事なり、強急とはこはばりつまるなり、則ち大棗に緩和の効あるものと見ゆ、叉大棗には血の循りを良くするのハタラキあり。
竹葉の氣味と効用について
神農本草経に曰く 竹葉味苦平、欬逆上気溢、筋急、悪瘍を主どり小蟲を殺し根を湯と作せば氣を益し渇を止どめ虚を補ひ氣を下す、汁は風痙を主どり實は神命に通じ身を軽くし氣を益すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 竹葉味苦平、逆上気、咳などを治す。大體竹茹に似て稍効異る所あるものの如し。
石膏の氣味と効用について
神農本草経に曰く 石膏味辛微寒、中風寒熱心下逆氣驚喘口乾舌焦息する能はず、腹中堅痛、邪鬼を除き産乳金瘡を主どる。
薬徴に曰く 主治煩渇也、旁ら譫語、煩躁、身熱を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 熱氣の泛乱を収め陽気の発散を助け熱による刺戟症状を緩解する能あるものの如し。
桂枝の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、上気欬逆、結気、喉痺、吐吸を主り、関節を利し、中を補い血を益す
薬徴に曰く 桂枝主治衝逆なり傍ら奔豚頭痛発熱悪風汗出身痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桂枝は味辛温、汗を発し表を調う、叉衝逆を主どると謂わる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云う、動悸頭痛息切れ肩のはり等此れ衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時はよく此衝逆を発す、桂枝よく表を救う、故に斯く称するものなるべし。
生姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 生姜味辛温、胸満欬逆上氣を主どり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる生なる者尤も良し久服すれば息氣を主どり神明に通ずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 生姜味辛温、氣をたすけ外を實す、之れ生姜の発汗薬に多く用ひらるる所以なり。
麻子仁の氣味と効用について
神農本草経に曰く 麻子味甘平、中を補い氣を益し肥健不老を主どると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 麻子味甘平、内熱によりて燥き固まれるを潤ほしやわらぐるの効あり。
阿膠の氣味と効用について
神農本草経に曰く 阿膠味甘平、心腹内崩勞極灑灑として瘧状の如く腰腹痛四肢酸疼女子下血を主どり胎を安んず久しく服すれば身を軽くし氣を益すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 阿膠は味甘平肌肉の傷れを治し急を緩るむることを主どると。故に出血を止どめ煩を去る。
地黄の氣味と効用について
神農本草経に曰く 乾地黄味甘寒、折趺絶筋傷中、血痺を逐ひ骨髓を填たし肌肉を長ずることを主どる、湯と作せば寒熱積聚を除き痹を除く、生者尤も良し、久服すれば身を軽くし老せずと。
薬徴に曰く 地黄は血證及び水病を主治する也と。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 地黄味甘寒、血の熱を涼し出血を止どめよく肌肉を潤し養う。故に腎気丸、三物黄芩湯、黄土湯、膠艾湯、炙甘草湯等に用いらる。これ等は皆つまる所は血を治する所にあるが故とみるべし。
呉茱萸の氣味と効用について
神農本草経に曰く 呉茱萸味辛温、中を温め氣を下し痛を止どめ欬逆寒熱を主どり濕血痺を除き風邪を逐ひ腠理を開くと。
薬徴に曰く 呉茱萸は嘔して胸満するを主治する也と。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 呉茱萸味辛温胃中を温め其の働きを鼓舞す。故に停水を去り吐き気を治し下利を止どめ手足を温めまた頭痛を治す。
當帰の氣味と効用について
神農本草経に曰く 當帰味甘温、欬逆上氣、温瘧寒熱洗洗皮膚中に在り婦人漏下子を絶つを主どる諸悪瘡瘍金瘡の者之を飲ますと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 當帰味甘温、中を緩め外の寒を退け氣血の行りをよくすることを主どる、故に手足を温め、腹痛を治し、内を調へ血を和し胎を安んず、之れ當帰の好んで婦人血の道の諸病、諸の冷え込み等に用ひらるる所以なるべし。
芎藭の氣味と効用について
神農本草経に曰く 芎藭味辛温、中風脳に入り頭痛するのや、寒痺にて筋の攣り緩急あるのや、金瘡や、婦人血閉して子の無きのやなどを主どると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 川芎味辛温、氣のめぐりを良くしのぼせを下げ頭を軽くし腹痛を治し月経不順を調へ又は下血を止どめ或は胎児を安んず、芎藭は當歸と合用せられ諸種の婦人病、昔時の所謂血の道に応用せらる此れ等は皆氣の滞りを散じ血行を順にさせる為と思われます。
芍薬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦平、邪気腹痛を主どり血痺を除き堅積を破り寒熱疝瘕を主どり痛を止め小便を利し氣を益すと。
薬徴に曰く 結實して拘攣するを主治し旁ら腹痛、頭痛、身体不仁、疼痛、腹満、咳逆、下痢、腫膿を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 結實とは凝りの事なり、拘攣とは引かれ引きつらるるを謂うなり、芍薬はよくたるみを引きしめ痛みを除くの効あり、結實も拘攣も弛みより来るものと見るべし。
牡丹皮の氣味と効用について
神農本草経に曰く 牡丹辛寒、寒熱中風瘈瘲驚癇邪氣を主どり癥堅瘀血腸胃に留舎するを除き五臓を安んじ癰瘡を療すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 牡丹皮味辛寒、内の熱を散じ結滞を浄め消するの効あり。
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by shizennori | 2007-12-16 20:12 | 22.麦門冬の薬味の処方