カテゴリ:20.乾薑と附子の薬味( 1 )

20.乾薑・附子剤の処方

乾薑・附子の薬味を中心にした処方を集めてみました。
乾薑・附子は、裏寒に作用し、更に下痢、四肢厥冷を治するに用いられます。

ここに、乾薑・附子の薬味を中心にした処方の比較を表にしてみました。

○乾薑・附子の薬味を中心にした処方の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論・金匱要略より条文を引用してみますと

傷寒論「辨太陽病脉證併治中第六」の第31条より
●之れを下したる後、復た汗を発し晝日煩躁して眠るを得ず、夜にして安静嘔せず渇せず表證なく脈沈微、身に大熱無き者は乾薑附子湯之れを主どる。


傷寒論「辨太陽病脈證併治法上第五」の第64条より
●傷寒醫之を下し続いて下利を得、清穀止まず身疼痛する者は、急に當に裏を救うべし、のち身疼痛、清便自から調う者は急に當に表を救うべし、裏を救うは四逆湯に宜しく、表を救うは桂枝湯に宜し・


傷寒論「辨太陽病脈證併治法上第五」の第30条より
●傷寒脈浮自から汗出て小便数、心煩微悪寒脚攣急するに反って桂枝湯を與へて、其の表を攻めんと欲するは此れ誤りなり、之を得て便ち厥し咽中乾き煩燥吐逆する者には、甘草乾姜湯を作り之を與へて以て其の陽を復す、若し厥愈え足温かなる者には更に芍薬甘草湯を作り之を與うれば其の脚即ち伸ぶ、若し胃氣和せず譫語する者は少しく調胃承気湯を與う、若し重ねて汗を発し復た焼鍼を加えたる者は、四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨太陽病脈證併治中第六」の第65条より
●病発熱、脈反って沈、若し差えず身体疼痛するは、當に其の裏を救うべし、四逆湯に宜し。


傷寒論「辨陽明脈證併治第八」の第47条より
●脈浮にして遅、表熱裏寒下利清穀する者は、四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨少陰病脈證併治第十一」の第43条より
●少陰病、脈沈なる者は、急に之を温む、四逆湯に宜し。


傷寒論「辨少陰病脈證併治第十一」の第44条より
●少陰病、飮食口に入れば則ち吐し、心中温温吐さんと欲すれども、また吐する能はず、始めに之を得て手足寒え脈弦遅なる者は、これ胸中實す下すべからざるなり、當に之を吐すべし、若し膈上に寒飲有りて、乾嘔する者は吐すべからざるなり、急に之を温め、四逆湯に宜し。


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第28条より
●大いに汗出で、熱さらず、内拘急し四肢疼み又は下利厥逆して悪寒する者は四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第29条より
●大いに汗し若しくは大いに下利して厥冷する者は四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第48条より
●下利、腹脹満し身体疼痛する者は先づ其の裏を温め乃ち其の表を攻む、裏を温むるには四逆湯、表を攻むるには桂枝湯


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第53条より
●嘔して脈弱、小便また利し、身に微熱ありて厥を見わす者は治し難し、四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨霍乱病脈證併治第十三」の第8条より
●吐利し汗出で発熱悪寒、四肢拘急、手足厥冷する者は、四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨霍乱病脈證併治第十三」の第9条より
●既に吐し且つ利し小便復た利し而して大いに汗出で下利清穀し内寒外熱し脈絶せんと欲する者は、
四逆湯之を主どる。


傷寒論「辨少陰病脈證併治第十一」の第34条より
●少陰病、下痢するは、白通湯之れを主どる。


傷寒論「辨少陰病脈證併治第十一」の第35条より
●少陰病、下痢脈微なる者に白通湯を與へ、利止まず、厥逆脈無く乾嘔し煩する者は、白通加猪胆汁湯之れを主どる、湯を服し脈暴かに出づる者は死し、微に続く者は生く。


乾姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、味辛温、胸満欬逆上気を主をどり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる。生者尤も良し、久服すれば息気をまもり神明に通ずと。
薬徴に曰く 結滞水毒を主治するなり、旁ら嘔吐、咳、下痢、厥冷、煩躁、腹痛、胸痛、腰痛を治す。生の生姜と乾かした生姜とは元一物にして薬効大いに異なる、自然の妙瘍まことに窮究し難きもの多し、而して乾姜の場合は散辛化して歛辛となる、生姜は進むことを主どり乾姜は守ることを主どる、万物の変化まことに計り知るべからざる所あり、乾姜は深きを温むる効あり、故に厥を回し下痢を止め嘔を治す。
附子の氣味と効用について
薬徴に曰く 逐水を主どるなり、故によく悪寒身体四肢及骨節疼痛或沈重或不仁或厥冷を治し旁ら腹痛失精下痢するを治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 附子味辛温、表を實し陽を益し津液を保つ故に悪寒し厥冷を復す。
甘草の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
葱白の氣味と効用について
神農本草経に曰く 葱實味辛温、目を明らかにし中の氣不足を補ふを主どる、其の茎は湯となすべし傷寒寒熱を主どり汗を出だし中風面目腫れたるを主どると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 葱白は味辛温、陽気を助け寒熱中風下利等を治す。
人尿の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 人尿はよく體中を巡りたる経験者なればなり、故に津液の行り宜しからざる際に用ひらる、白通加猪胆汁湯に入り、又馬墜打撲の方を煮るに用ひらるるは其の例なり
猪胆汁の氣味と効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 猪胆汁味苦寒、熱を除き鬱を通じ生気を鼓舞回復せしむるの力あるものの如し。又此を灌腸するによりてよく大便を出だしむ。之亦鬱を通ずる力あるものに由る如し。故に少陰病に於ける白通湯、霍乱病に於ける通脈四逆湯等に入り以て危急存亡の間をはせまわりて之を救うなり。
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by shizennori | 2007-12-14 17:07 | 20.乾薑と附子の薬味