カテゴリ:18.當歸四逆湯の加減方( 1 )

18.當歸四逆湯と當歸四逆加呉茱萸生薑湯の薬味の構成

当帰四逆湯の薬味は、桂枝湯の生薑のかわりに當歸、細辛、通艸(木通)になっています。
当帰四逆湯は桂枝湯の表虚に加えて、体の中の冷えているものに使用いたします。


ここに、桂枝湯と当帰四逆湯と當歸四逆加呉茱萸生薑湯の薬味の違いを表にしてみました。

○当帰四逆湯の類処方の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論より条文を引用してみますと

傷寒論「辨太陽病脈證併治法上第五」の第13条より
●太陽の中風は陽浮にして陰弱、陽浮なる者は熱自から発し陰弱なる者は汗自から出づ、嗇嗇として悪寒し淅淅と悪風し翕翕と発熱し鼻鳴、乾嘔する者は桂枝湯之を主どる

傷寒論「辨太陽病脈證併治法上第五」の第14条」より
●太陽病、頭痛、発熱、汗出でて悪風する者は桂枝湯之を主どる。


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第26条」より
●手足厥寒し、脈絶せんと欲する者は、當歸四逆湯之れを主どる。


傷寒論「辨厥陰病脈證併治第十二」の第27条」より
●若しも其の人、内に久寒有る者は、宜しく當歸四逆加呉茱萸生薑湯之れを主どるべし。


桂枝の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、上気欬逆、結気、喉痺、吐吸を主り、関節を利し、中を補い血を益す
薬徴に曰く 桂枝主治衝逆なり傍ら奔豚頭痛発熱悪風汗出身痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桂枝は味辛温、汗を発し表を調う、叉衝逆を主どると謂わる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云う、動悸頭痛息切れ肩のはり等此れ衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時はよく此衝逆を発す、桂枝よく表を救う、故に斯く称するものなるべし。
芍薬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦平、邪気腹痛を主どり血痺を除き堅積を破り寒熱疝瘕を主どり痛を止め小便を利し氣を益すと。
薬徴に曰く 結實して拘攣するを主治し旁ら腹痛、頭痛、身体不仁、疼痛、腹満、咳逆、下痢、腫膿を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 結實とは凝りの事なり、拘攣とは引かれ引きつらるるを謂うなり、芍薬はよくたるみを引きしめ痛みを除くの効あり、結實も拘攣も弛みより来るものと見るべし。
甘草の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
生姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、胸満欬逆上氣を主どり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる生なる者尤も良し久服すれば息氣を主どり神明に通ずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 生姜味辛温、氣を扶け外を實す、之れ生姜の発汗薬に多く用ひらるる所以なり。
大棗の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、心腹邪気を主どり中を安んじ脾を養ひ十二経を助け胃氣を平にし九竅を通じ少氣少津液身中の不足大驚四肢重を補ひ百薬を和し久服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 攣引強急を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 攣引とはひきつり引かるる事なり、強急とはこはばりつまるなり、則ち大棗に緩和の効あるものと見ゆ、叉大棗には血の循りを良くするのハタラキあり。
當帰の氣味と効用について
神農本草経に曰く 當帰味甘温、欬逆上氣、温瘧寒熱洗洗皮膚中に在り婦人漏下子を絶つを主どる諸悪瘡瘍金瘡の者之を飲ますと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 當帰味甘温、中を緩め外の寒を退け氣血の行りをよくすることを主どる、故に手足を温め、腹痛を治し、内を調へ血を和し胎を安んず、之れ當帰の好んで婦人血の道の諸病、諸の冷え込み等に用ひらるる所以なるべし。
細辛の氣味と効用について
神農本草経に曰く 細辛味辛温、欬逆上氣頭痛脳動百節拘攣風濕痺痛死肌を主どり久服すれば目を明らかに九竅を利し身を軽くし年を長くすと。
薬徴に曰く 細辛主治宿飲停水也故に水氣心下に在りて咳満し、或は上逆し或は脇痛するを治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 細辛は中を温め、寒を去り、痛みを除き、痰を消し、咳嗽を治す。
通艸(木通)の氣味と効用について
神農本草経に曰く 通草味辛平、悪蟲を去り脾胃の寒熱を除き九竅血脉關節を通利し人をして忘れざらしむるを主どると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 通艸味辛平氣を通じ血を循らし、よく手足を煖む。故に當歸四逆湯に配伍せられ、手足の厥逆を治するに用ひらる。
呉茱萸の氣味と効用について
神農本草経に曰く 呉茱萸味辛温、中を温め氣を下し痛を止どめ欬逆寒熱を主どり濕血痺を除き風邪を逐ひ腠理を開くと。
薬徴に曰く 呉茱萸は嘔して胸満するを主治する也と。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 呉茱萸味辛温胃中を温め其の働きを鼓舞す。故に停水を去り吐き気を治し下利を止どめ手足を温めまた頭痛を治す。
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by shizennori | 2007-12-04 16:33 | 18.當歸四逆湯の加減方