カテゴリ:9.葛根,括樓根,人参の薬( 1 )

9.桂枝湯と葛根・括蔞根・人参の薬味の相違

こわばりのある桂枝加葛根湯括蔞桂枝湯桂枝加芍薬生薑各一両人参三両新加湯の薬味の違いを比較して見ました。
桂枝湯に葛根と栝樓根と人参の薬味が入ることで処方の働きが全然違ってきます。


○葛根・根・人参の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論・金匱要略より条文を引用してみますと

傷寒論「辨太陽病脈證併治法上第五」の第15条より
●太陽病項背強ること几几、反って汗出で悪風するは桂枝加葛根湯之を主どる。


金匱要略「痙濕暍病脈證第二」の第11条より
●太陽病、其の證備わり身体強ばり几几然として脈反って沈遅、此れ痙となす、括蔞桂枝湯之を主どる。


傷寒論「辨太陽病脈證併治中第六」の第32条より
●発汗後、身疼痛、脈沈遅の者は、桂枝加芍薬生薑各一両人参三両新加湯之を主どる。


〔新古方薬嚢〕より
〔桂枝加葛根湯を用うべき證〕
葛根湯の如く首すじから背中へ掛けて強ばる者、但此方の行く所は身体に湿り氣多く少し汗出づる者、之葛根湯との違いなり。熱少しありて悪寒する者、或は熱無くさむけ有る者、本方の證は風邪其の他に稀ならず或は平常汗をかきっぽくその癖絶えず肩の張るのを苦しむ人にもある事あり。
〔括蔞桂枝湯の證〕
発熱、頭痛、さむけ等ありて身体に軽きこわばりを発し、のど乾き渇するものに宜し。この強ばりは或は軽きことあり、或は劇しきことあり、渇も目の付処なり。
〔桂枝加芍薬生薑各一両人参三両新加湯を用うべき證〕
身体の疼痛する者。脈は必ず沈遅の者、其の疼み痛む具合は皮肉が潤いを失い、しぶりいたむと言う感じのもの也。其の状態頗る栝樓根の行く所に似たるものあり。


桂枝の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、上気欬逆、結気、喉痺、吐吸を主り、関節を利し、中を補い血を益す
薬徴に曰く 桂枝主治衝逆なり傍ら奔豚頭痛発熱悪風汗出身痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桂枝は味辛温、汗を発し表を調う、叉衝逆を主どると謂わる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云う、動悸頭痛息切れ肩のはり等此れ衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時はよく此衝逆を発す、桂枝よく表を救う、故に斯く称するものなるべし。
芍薬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦平、邪気腹痛を主どり血痺を除き堅積を破り寒熱疝瘕を主どり痛を止め小便を利し氣を益すと。
薬徴に曰く 結實して拘攣するを主治し旁ら腹痛、頭痛、身体不仁、疼痛、腹満、咳逆、下痢、腫膿を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 結實とは凝りの事なり、拘攣とは引かれ引きつらるるを謂うなり、芍薬はよくたるみを引きしめ痛みを除くの効あり、結實も拘攣も弛みより来るものと見るべし。
生姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、胸満欬逆上氣を主どり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる生なる者尤も良し久服すれば息氣を主どり神明に通ずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 生姜味辛温、氣を扶け外を實す、之れ生姜の発汗薬に多く用ひらるる所以なり。
甘草
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
大棗の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、心腹邪気を主どり中を安んじ脾を養ひ十二経を助け胃氣を平にし九竅を通じ少氣少津液身中の不足大驚四肢重を補ひ百薬を和し久服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 攣引強急を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 攣引とはひきつり引かるる事なり、強急とはこはばりつまるなり、則ち大棗に緩和の効あるものと見ゆ、叉大棗には血の循りを良くするのハタラキあり。
葛根の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、毒なく消渇身大熱嘔吐諸痺を主どり陰気を起し諸毒を解くと。
薬徴に曰く 主治項背強也旁ら喘して汗出づるを治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 葛根は味甘平、此品は組織のこわばりを緩める効ありて其の作用する場所は主として首筋から背中へかけて働くものの如し。
括蔞根の氣味と効用について
神農本草経に曰く 括蔞根味苦寒消渇身熱煩満大熱を主どり虚を補い中を安んじ絶傷を続くと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 括蔞根は之を本経の説及び傷寒金匱に用いらるる所とより考うれば渇を主どること疑いなかるべし、叉熱を消し小便を利し急を和する効ありとなす。而してその急を和する趣むきやや葛根に比すべし。本品は渇を治するも石膏と同じからず。小便を利するも茯苓と異なる。深重なる観察と周到なる注意とにより始めて之れを悟り得べきものならん。因みに述ぶ葛根は味甘平なり、石膏は味辛微寒なり、茯苓は味甘平なりと。
人参の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘微寒、五臓を補ひ精神を安んじ魂魄を定め驚悸を止どめ邪気を除き目を明らかにし心を開き智を益すことを主どり、久しく服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 主治心下痞堅、痞鞭、支結なり旁ら不食嘔吐喜唾、心痛、腹痛、煩悸を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 乾きを潤し、しぶりを緩む。故に心下痞、痞堅、身痛、下痢、喜嘔、心痛、その他を治す。
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by shizennori | 2007-11-05 20:38 | 9.葛根,括樓根,人参の薬