17.括蔞実・薤白剤の薬味

括蔞実と薤白を中心にした方剤を金匱要略から取り出してみました。

其の方剤は、金匱要略の「胸痺心痛短氣病脈證治第九」にあります。
括蔞実〔苦寒〕で血熱を除き、薤白〔辛温〕で氣を益し氣を散じます。

ここに、括蔞実と薤白を中心にした方剤を表にしてみました。


括蔞実と薤白の方剤の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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金匱要略より条文を引用してみますと

金匱要略「胸痺心痛短氣病脈證治第九」の第3条より
●胸痺の病、喘息咳唾、胸背痛短氣し、寸口の脈、沈にして遅、關上小緊數なるは、括蔞薤白白酒湯之れを主どる。


金匱要略「胸痺心痛短氣病脈證治第九」の第4条より
●胸痺、臥するを得ず、心痛背に徹する者は、括蔞薤白半夏湯之れを主どる。


金匱要略「胸痺心痛短氣病脈證治第九」の第5条より
●胸痺、心中痞、留氣結ぼれて胸にあり、胸満脇下、心を逆搶するは、枳實薤白桂枝湯之れを主どる、人参湯も亦、之れを主どる。


括蔞の氣味と効用について
薬徴に曰く 括蔞実主治胸痺也旁ら痰飲を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 味緩和にして血熱を除き燥きを潤ほし氣を通ず故によく胸脇部の疼痛を去り氣血の通行を滑らかにすることをなす。
薤白の氣味と効用について
神農本草経に曰く 薤味辛温、金瘡や瘡の敗れたるを主どる、身を軽くし飢えず老に耐ふと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 薤は味辛温氣を益し氣を散じ中を和し胸痺の胸背痛を治す故に胸痺病に用ひらる。
白酒の効用について
新古方薬嚢(荒木朴庵)酒の効のうすきものなれば白酒は緩かに血行を促して薬力を助くるものと考ふべし。
半夏の氣味と効用について
神農本草経に曰く 半夏味辛平、傷寒寒熱心下堅を主どり氣を下し咽喉腫痛頭眩胸脹欬逆を主どり腸鳴を主どり汗を止どむと。
薬徴に曰く 半夏主治痰飲嘔吐也旁ら心痛逆満、咽中痛、欬、悸、腹中雷鳴を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 半夏は氣を補ひ水を去る故によく嘔吐、腹中雷鳴、咳逆等を治す。叉咽痛を治す。
枳實
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 枳實味苦寒、大風皮膚中に在り麻豆の如く痒きを苦しむを主どり寒熱の結を除き痢を止め肌肉を長じ五臓を利し氣を益し身を軽くすと。 
薬徴に曰く 枳實主治結實の毒なり旁ら胸満胸痺腹満腹痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 味苦寒、熱をさまし、しこりを消すの効あり。又痛みをゆるめ腫を去る、故に諸の熱實病又は癰腫等を治するに用いらる。
厚朴の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦温、中風傷寒頭痛寒熱驚悸の氣血痺死肌を主どり三蟲を去ると。
薬徴に曰く 主治胸腹脹満なり旁ら腹痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 腹を温め腹満を除く。叉胸満、咳、喘、上氣等を治し、或は咽喉の塞へを治す。併し其の根元は腹満にあり。
桂枝の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、上気欬逆、結気、喉痺、吐吸を主り、関節を利し、中を補い血を益す
薬徴に曰く 桂枝主治衝逆なり傍ら奔豚頭痛発熱悪風汗出身痛を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桂枝は味辛温、汗を発し表を調う、叉衝逆を主どると謂わる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云う、動悸頭痛息切れ肩のはり等此れ衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時はよく此衝逆を発す、桂枝よく表を救う、故に斯く称するものなるべし。
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by shizennori | 2007-12-02 13:23 | 17.括蔞実・薤白剤の薬味


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