15.真武湯と附子湯の処方の薬味の相違

真武湯も附子湯もどちらも傷寒論の少陰病篇に記載されています。
附子湯の方が真武湯より痛みはひどいはずであります。何故なら白朮と附子の薬味の量が多いからであります。
ここで真武湯と附子湯の薬味の違いを表にしてみました。


○真武湯と附子湯の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論・金匱要略より条文を引用してみますと

傷寒論の「辨太陽病脈證併治中第六」の第55条より
●太陽病汗を発し汗出でて解せず、其の人仍ほ発熱心下悸頭眩身瞤動振振として地を擗でんと欲する者は真武湯之を主どる

傷寒論「辨少陰病脈證併治第十一」の第36条より
●少陰病、二三日已まず、四五日に至り、腹痛、小便不利、四肢沈重疼痛し、自ら下利する者は、此れ水気有りと為す、其の人或いは欬し、或いは小便利し、或いは下利、或いは嘔する者、真武湯之れを主どる。

傷寒論「辨少陰病脈證併治第十一」の第24条より
●少陰病、之れを得て一二日,口中和し其の背悪寒する者は當に之に灸すべし、附子湯之れを主どる。

傷寒論の「辨少陰病脈證併治第十一」の第25条より
●少陰病、身體痛み、手足寒へ、骨節痛み、脈沈の者は附子湯之れを主どる。

金匱要略「婦人妊娠病脈證併治第二十」の第3条より
●婦人懐娠六七月、脈弦発熱、其の胎いよいよ脹り、腹痛悪寒し、少腹あおがるるが如し、然る所以の者は、子藏開くが故なり、當に附子湯を以って、其の藏を温むべし。

茯苓
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、胸脇逆氣憂恚驚邪恐悸心下結痛、寒熱煩満欬逆口焦舌乾を主どり小便を利し久服すれば魂を安んず神を養ひ飢えず年を延ぶと。
薬徴に曰く 茯苓の主治は悸及び肉じゅん筋惕なり旁ら小便不利、頭眩、煩燥を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 水を収め乾きを潤しその不和を調ふ故に動悸を鎮め衝逆を緩下し水を利して眩悸等を治す。
芍薬の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦平、邪気腹痛を主どり血痺を除き堅積を破り寒熱疝瘕を主どり痛を止め小便を利し氣を益すと。
薬徴に曰く 結實して拘攣するを主治し旁ら腹痛、頭痛、身体不仁、疼痛、腹満、咳逆、下痢、腫膿を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 結實とは凝りの事なり、拘攣とは引かれ引きつらるるを謂うなり、芍薬はよくたるみを引きしめ痛みを除くの効あり、結實も拘攣も弛みより来るものと見るべし。
生姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 生姜味辛温、胸満欬逆上氣を主どり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる生なる者尤も良し久服すれば息氣を主どり神明に通ずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 生姜味辛温、氣をたすけ外を實す、之れ生姜の発汗薬に多く用ひらるる所以なり。
白朮の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味苦温、風寒湿痺死肌痙疽を主どり汗を止め熱を除き食を消す。煎と作して餌すれば久しく服して身を軽くし年を延べ飢えずと。
薬徴に曰く 利水を主どるなり、故によく小便自利不利を治し旁ら身煩疼痰飲、失精、眩冒、下痢、喜唾を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 水をさばきその滞りを除きよく小便を調ふ。故に小便不利、小便自利を治す。不利は出工合悪きを謂ふ。叉小便少なきをも言ふ。自利はよく出る者を言ふ。則ち出過ぎる者の事。小便の出が悪い筈なのに反って出の好い者の事も自利と謂ふ。小便が少なくて下痢する者、小便の出が好くて便秘する者、筋や骨の痛む者、めまひのする者、頭の重い者、胃がふくれて食進まず或いは吐く者、朮のゆくべき場合には必ず小便の出工合を確むべし。
附子の氣味と効用について
薬徴に曰く 逐水を主どるなり、故によく悪寒身体四肢及骨節疼痛或沈重或不仁或厥冷を治し旁ら腹痛失精下痢するを治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 附子味辛温、表を實し陽を益し津液を保つ故に悪寒し厥冷を復す。
人参の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘微寒、五臓を補ひ精神を安んじ魂魄を定め驚悸を止どめ邪気を除き目を明らかにし心を開き智を益すことを主どり、久しく服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 主治心下痞堅、痞鞭、支結なり旁ら不食嘔吐喜唾、心痛、腹痛、煩悸を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 乾きを潤し、しぶりを緩む。故に心下痞、痞堅、身痛、下痢、喜嘔、心痛、その他を治す。
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by shizennori | 2007-11-26 17:13 | 15.真武湯と附子湯


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