12.甘草湯と桔梗湯と排膿湯の類処方

甘草の薬味は、急迫が主治ですが、解毒を主り、元に戻そうとします。甘草湯の類処方を比較してみました。
甘草湯の類処方の薬味を表に現して見ました。

○甘草湯の類処方の薬味の相違(新古方薬嚢の薬味の分量)
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傷寒論・金匱要略より条文を引用してみますと

傷寒論「辨少陰病脈證併治第十一」の第31条より
●少陰病二三日、咽痛する者は、甘草湯を與うべし、差えざる者は、桔梗湯を與う。

金匱要略「肺痿肺癰欬嗽上気病脈證治第七」の附方
●千金甘草湯

金匱要略「肺痿肺癰欬嗽上気病脈證治第七」の第13条より
●欬して胸満し、振寒し、脈数、咽乾くも渇せず、時に濁唾腥臭を出だし、久久として膿を吐すること米粥の如き者は、肺癰と為す、桔梗湯これを主どる。


金匱要略「瘡癰腸癰浸淫病脈證治第十八」の第8条より
排膿湯


金匱要略「肺痿肺癰欬嗽上気病脈證治第七」の第17条より
●千金生姜甘草湯、肺痿、咳唾涎沫止まず咽燥して渇するを治す。

金匱要略「趺蹶手指臂腫轉筋陰狐疝蚘蟲病證治第十九」の第6条より
●蚘蟲の病たる、人をして涎を吐かしめ心痛発作、時あらしむ、毒藥にて止まざるは甘草粉蜜湯之れを腫どる。


金匱要略「婦人雑病脈證併治第二十二」の第6条より
●婦人藏躁は、しばしば、悲傷し哭せんと欲し、象、神霊のなす所の如く、しばしば欠伸す、
甘麦大棗湯之れを主どる。


甘草の氣味と効用について
神農本草経に曰く 甘草味甘平、五臓六腑寒熱邪気を主どり筋骨を堅め肌肉を長じ気力を倍にし金瘡の腫れや毒を解す久服すれば身を軽くし年を延ぶと。 
薬徴に曰く 甘草主治急迫なり故に裏急急痛を治し旁ら厥冷煩躁衝逆等の諸般急迫の毒を治すると。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 甘草は味甘平、緩和を主として逆をめぐらす効あり、逆とは正に反する事なり、めぐるとは元に戻る事なり、故によく厥を復し熱を消し痛を和らげ煩を治す。
桔梗の氣味と効用について
神農本草経に曰く 桔梗味辛微温、胸脇痛むこと刀にて刺さるるが如く腹満腸鳴幽幽驚恐悸氣するを主どると。
薬徴に曰く 桔梗主治濁涶腫膿也旁ら咽喉を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 桔梗味辛微温咳を止め痰を去り、膿を消し痛みを鎮む。又よく咽痛を治す。此みな氣を増し氣の鬱滞を除くに基くものなり。
生姜の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味辛温、胸満欬逆上氣を主どり中を温め血を止どめ汗を出だし風湿痺を逐ひ腸澼下痢を主どる生なる者尤も良し久服すれば息氣を主どり神明に通ずと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 生姜味辛温、氣を扶け外を實す、之れ生姜の発汗薬に多く用ひらるる所以なり。
大棗の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘平、心腹邪気を主どり中を安んじ脾を養ひ十二経を助け胃氣を平にし九竅を通じ少氣少津液身中の不足大驚四肢重を補ひ百薬を和し久服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 攣引強急を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 攣引とはひきつり引かるる事なり、強急とはこはばりつまるなり、則ち大棗に緩和の効あるものと見ゆ、叉大棗には血の循りを良くするのハタラキあり。
人参の氣味と効用について
神農本草経に曰く 味甘微寒、五臓を補ひ精神を安んじ魂魄を定め驚悸を止どめ邪気を除き目を明らかにし心を開き智を益すことを主どり、久しく服すれば身を軽くし年を延ぶと。
薬徴に曰く 主治心下痞堅、痞鞭、支結なり旁ら不食嘔吐喜唾、心痛、腹痛、煩悸を治すと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く 乾きを潤し、しぶりを緩む。故に心下痞、痞堅、身痛、下痢、喜嘔、心痛、その他を治す。
の氣味と効用について
神農本草経に曰く 石蜜味甘平、心腹邪氣、諸驚癇痙を主どり五臓の諸不足を安じ氣を益し中を補い痛みを止どめ毒を解し衆病を除き百薬を和し久服すれば志を強くし身を軽くし飢えず老せざらしむと。
新古方薬嚢(荒木朴庵)ボク曰く よく緩め、よく潤す。此潤ほす所尤も蜜の勝れたる所なり。蜜煎導、烏頭湯、大烏頭煎等に用いられ又諸の丸薬を和するに用いらる。
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by shizennori | 2007-11-14 20:43 | 12.甘草の薬味の類処方


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