6.八味丸の加減方

腎虚の代表的処方であります八味丸の加減方とその使い方の代表的条文を取り出して見ました。
八味丸は代表的な漢方医学書の「金匱要略」に収載されている漢方処方であります。
その名称も、腎気丸、八味地黄丸、崔氏八味丸などと呼ばれています。


○八味丸の加減方(新古方薬嚢の薬味の分量)
c0130221_1922354.gif

傷寒論・金匱要略における八味丸とその関連条文を引用してみますと

傷寒論の「傷寒例第三」の第16条に
●尺寸倶に沈の者は少陰病を受けたるなり、當に五六日に発すべし、其の脈腎を貫き肺をまとひ舌本にかかるを以っての故に口燥き舌乾きて渇す。


金匱要略の「中風歴節病脈證併治第五」の第20条に
①崔氏八味丸は脚気上って入り少腹不仁するを治す。

運用のポイント:下腹部軟弱や麻痺性のもの

金匱要略の「血痺虚労病脈證併治第六」の第5条に
●男子脈虚し沈弦寒熱なく、短気裏急、小便不利、面目白く時に目瞑して衄を兼ね少腹満するは此れ労をして之をしからしむるとなす。


金匱要略の「血痺虚労病脈證併治第六」の第6条に
●労の病たる其の脈浮大、手足煩して、春夏に劇し秋冬にいゆ、陰寒精自ら出で酸削、行うあたわず。


金匱要略の「血痺虚労病脈證併治第六」の第8条に
●夫れ失精家は、少腹弦急し陰頭目眩、髪落す、脈極虚芤遅にして清穀亡血失精をなす。


金匱要略の「血痺虚労病脈證併治第六」の第15条に
②虚労腰痛少腹拘急、小便不利の者、八味腎気丸これを主どる。

運用のポイント:腰痛、下腹部腹筋緊張、小便不利するもの

金匱要略の「痰飲欬嗽病脈證併治第十二」の第18条に
③夫れ短気、微飲あり當に小便よりこれを去る。苓桂朮甘湯此れを主どる。腎気丸も亦た之れを主どる。

運用のポイント:呼吸促迫し小便不利するもの

金匱要略の「消渇小便利淋病脈證併治第十三」の第4条に
④男子消渇、小便反って多く、飲一斗をもって小便一斗なるは腎気丸之れを主どる。

運用のポイント:口渇著明 尿利増加のとき

金匱要略の「水氣病脈證併治第十四」の第12条に
●夫れ水病の人は、目下に臥蚕有り、面目鮮澤脈伏するは其の人消渇し、病水腹大きく、小便利せず、其の脈沈絶の者は水あり此れをく下すべし。

運用のポイント:浮腫があり口渇尿利減少するもの

金匱要略の「水氣病脈證併治第十四」の第14条に
●心水の者は、其の身重くして少気し、臥するを得ずして煩して躁し、其の人陰腫る。


金匱要略の「婦人雑病脈證併治第二十二」の第19条に
⑤問て曰く婦人病みて飲食故の如く煩熱臥するを得ず、しかも反って倚息する者何ぞや。師の曰く此れを転胞と名づく溺を得ざるなり。胞系了房するを以っての故にこの病を致す。ただ小便を利すれば則ち愈ゆ。宜しく腎気丸これを主どるべし。

運用のポイント:皮膚や四肢が煩熱するもの

運用のポイント:難聴、視力障害があって口渇、尿利異常があるもの

◎八味丸の薬味・薬嚢〔新古方薬嚢より〕
地黄〔甘寒〕和名さをひめの根なり。
血の熱を涼し出血を止どめよく肌肉を潤し養う。故に腎気丸、三物黄芩湯、黄土湯、膠艾湯、炙甘草湯等に用いらる。これ等は皆つまる所は血を治する所にあるが故とみるべし。

山茱萸〔酸平〕さんしゅゆの実なり。
小便の自利を止め不利を出し少腹を引きしめ視力を益す等の効ありとなす。

薯蕷〔甘温〕長芋の根を乾燥したる物なり。
中の傷れを補ひ腰より下を温むるの効あり、一種の強壮薬として用ひらる。腰痛を治し小便を調ふ。

澤瀉〔甘寒〕さじおもだかの根なり。
熱を去り燥きを潤すことをなす、故に刺戟を緩和することを主どる、その主目標は渇ありて水を欲するもの、冒眩あるもの、小便不利あるもの等なり。

茯苓〔甘平〕水を収め乾きを潤しその不和を調ふ。故に動悸を鎮め衝逆を緩下し水を利して眩悸等を治す。
牡丹皮〔辛寒〕内の熱を散じ結滞を浄め消するの効あり。

桂枝〔辛温〕汗を発し表を調ふ、又衝逆を主どると謂はる、衝逆とは下から上へつきあぐる勢いを云ふ、動悸頭痛息切れ肩のはり等此衝逆より生ずる者あり、表の陽気虚する時は
よく此衝逆を発す桂枝よく表を救ふ、故に斯く称するものなるべし。又山椒の毒を解すに用ひらる。

附子〔辛温〕表を実し陽を益し津液を保つ故に悪寒を治し厥冷を復す。

[PR]
by shizennori | 2007-09-19 18:59 | 6.八味丸の加減方


<< 7.桂枝附子湯の類似処方 5.黄連・黄芩剤の薬味の処方 >>